a0027_000958_m


米国トランプ大統領による北朝鮮への駆け引きは、今回も成功したようである。金正恩氏がトランプ氏への書簡で、2回目の米朝首脳会談を要請してきたからだ。9月10日の軍事パレードに参加した中国高官が、勧めた可能性がある。

 

トランプ氏は、米国務長官の訪朝計画を中止させた際の発表で、中朝が相談すべきであるような文言が入っていたからだ。つまり、米中貿易摩擦が解決したら、米朝会談を開こうという主旨である。中国は、思わざるところで北朝鮮とワンセットにされたことで慌てたのだろう。

 

米中貿易問題は、ますます米国の強い姿勢が鮮明になっている。中国経済の実態は悪化の一途である。過剰債務問題が引き金になる「第二のリーマンショック」も絵空事ではなくなった。中国金融当局は、極度の緊張状態に置かれている。こういう中で、これ以上米国の不興を買うことのリスクに怯え始めたと思われる。これが、北朝鮮に対して米朝首脳会談を促した背景と思われる。

 

『ロイター』(9月11日付)は、「金正恩氏、第2回米朝首脳会談を要請、トランプ大統領に書簡」と題する記事を掲載した。

 

(1)「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に書簡を送り、2回目の首脳会談開催を要請した。ホワイトハウスのサンダース報道官が10日明らかにした。報道官は記者団に対し、トランプ大統領が受け取った書簡は「友好的」かつ「ポジティブ」な内容だったと説明。「書簡の主要な目的は、トランプ大統領と2回目の会談を予定すること」とした上で、「米国側はオープンで、すでに調整に取り掛かっている」と述べた。トランプ大統領はこれに先立ち、金委員長から近く書簡を受け取る見通しで、内容は「前向き」なものと予期していると明らかにしていた」」

 

こういう書き方をすると誤解を受けるが、トランプ氏の強硬姿勢は北朝鮮を確実に「会議のテーブル」を引き出している。軍事力を使わずに、ここまでこぎ着けていることは、それなりの評価をしても良いように思える。

 

(2)「6月12日に行われた初の米朝首脳会談で朝鮮半島の非核化を目指すことで合意したことを受け、両政府は協議を続けている。しかし、非核化に向けた具体的な措置が示されない中、金委員長に核開発を断念する意思があるかどうかを巡り疑念が生じている。サンダース報道官は、金委員長からの書簡で「朝鮮半島の非核化実現に向けたコミットメントの継続」が示されたとし、北朝鮮が9日行った軍事パレードで弾道ミサイルを登場させなかったことは「誠意の表れ」との見方を示した。2回目の米朝首脳会談をいつ行うかは不明」

 

米朝首脳が会談して、互いに相手を理解することが問題解決の糸口である。中国は、米中貿易戦争の防戦で精一杯であり、できるだけ米国の印象を良くしたいという完全な受け身姿勢に変わった。これが、中国経済の混迷ぶりから得られた私の見方だ。