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火のないところに煙は立たない、という。この諺に従えば、最近の中国金融当局が頻りと金融対策万全を強調する理由はどこにあるのか。自らの過剰債務へ向けられた警戒感を払拭しようとしているからに違いない。

 

今年の10月で、リーマンショックが起こって10年になる。この間、世界の金融情勢はどう変わってきたか。当時と比べて改善しているのか。

 

実は、リーマンショックの衝撃を緩和するために、前例のない量的な金融緩和を行なって来た。世界の債務は250兆ドル(約2.7京円)にも達し、10年前より4割も増えていると指摘されている。ここで再び、「大国で金融破綻」が起こったならば、もはや救済が不可能な事態になる。政策金利の下げ余地は小さく、各国政府の財政出動余力も乏しいことが理由だ。

 

リーマンショックの再来となれば、その候補となる大国は中国しかない。異常なスピードで債務を積み上げてきたからだ。私のブログは、中国の抱える金融的リスクの大きさを指摘し続けてきた。中国が、「第二のリーマンショック」を引き起こす懸念はないのか。差し迫った問題になっている。

 

『ロイター』(9月10日付)は、「中国、金融市場で『ブラックスワン』的事象の発生防止へ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国国務院(内閣に相当)の金融安定発展委員会(FSDC)は10日、株式・債券・通貨市場の安定的で健全な発展を確実にし、予測ができず発生時の衝撃が大きいブラックスワン的事象を防止していく方針を示した。先週末7日の会合後、ウェブサイトに声明を掲載した。FSDCは中国が穏健で中立的な金融政策を維持する一方、予防的な微調整を行うとも表明した」

 

中国当局が、ブラックスワン的事象を防止するという方針を出すこと自体、金融危機の発生状態に近いことを臭わせている。それだけ危機が迫っているのだろう。

 

   株価(上海総合指数)は、2700ポイント割込み回復の兆候も見せずにいる。

   社債のデフォルトは民間企業中心に多発している。

   人民元相場も弱含みであり、辛うじて1ドル=6.8元台を維持している。

 

こうした危機的な状況下で、米中貿易戦争が起こった。これが、中国経済にさらなる打撃を与えたことは確実である。

 

中国経済のリスクは、どの程度なのか。

 

国際通貨基金(IMF)が7月、中国経済の短期的な見通しは力強いが、外部の脅威が増しており、全体的なリスクは下振れ方向だとの報告書を公表している。この報告は極めて気になる存在だ。

 

IMFが金融リスクの存在を厳しく見ているのに対して、中国は自らの責任に触れず、米国の貿易戦争のもたらす衝撃の大きさを強調している。これは、暗に米国に手加減してくれて訴えているようなもので、みっともない話である。それほど自信がなければ、米国と貿易戦争をせずにWTO規則を守ればよいだけのことだ。

 

『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国経済は成長力強いがリスク増大ーIMF報告書」と題する記事を掲載した。

 

(2)「IMFは中国経済に今後何が起きるかは同国政府の行動に左右されると指摘。市場ベースの改革は持続的で安定した成長につながる可能性があるが、『信用拡大主導の刺激策に戻れば、脆弱性が一段と増し、最終的に突然の調整を引き起こす恐れがある』としている。レバレッジ解消の取り組みが進む中で、景気下支えに向けた財政政策の余地が幾分残っているとIMFは分析。中国人民銀行(中央銀行)はなお緩和的な金融政策を徐々に引き締めるべきだとも指摘した」

 

中国は、過剰債務による経済成長政策の限界を認識することである。米中貿易戦争で、再び金融緩和基調に戻るようなことがあれば、自殺行為になろう。IMFは、この点を指摘している。このIMFの忠告がどこまで守られるのか。中国の将来は、この一点にかかっている。