中国は、急速な賃上げと労働力不足に見舞われている。これを背景にしてロボットの普及が進んでいる。だが、低級品のロボットは生産できても高級品は無理だ。精密工業ゆえに、中国が簡単には真似はできず、技術格差が大きいという。6月以降、需要が急減速し先行きが懸念される事態へ。
日本では、世界ロボット10大メーカーのうち6社を擁する世界一のロボット王国である。すなわち、安川電機(1位)、ファナック(3位)、川崎重工(5位)、不二越(6位)、アデプト・テクノロジー(オムロン買収 10位)である。
このように社名を並べると壮観である。日本の製造業が揺るぎない競争力を維持できる裏には、こういうロボット企業が控えている結果だろう。
『日本経済新聞 電子版』(9月20日付)は、「中国の産業用ロボ、世界4強とは技術格差」と題する記事を掲載した。
(1)「 世界の産業用ロボット需要は中国がけん引している。国際ロボット連盟(IFR)によると、中国の2017年の販売台数は58%増の13万8000台を記録。世界の3割強を占めた計算だ。人手不足や中国政府の支援策が後押しし、空前のロボットブームが起こった。このうち、中国の現地ロボットメーカーが供給したシェアは2017年時点で合計31.7%。ファクトリーネットワークアジアの調査に基づき算出した。26.2%だった13年から小幅ながら上昇が続く」
2017年の販売台数は、58%増であった。ところが、後述の今年6月以降は前年比6~9%と急減速である。中国の設備投資が止まっていることや、輸出減の影響であろう。これは重大問題だ。このままだと、中国製造業はパニックを起こそう。
(2)「市場の勢いは今夏以降、失速が目立つ。中国国家統計局によると、6月以降はロボット生産量の伸びが前年比6~9%にとどまっている。米中貿易戦争が設備投資マインドを冷え込ませているようだ。アドテックの曾董事長は『まだ実際の影響はない』としながらも、『米アップルなど外資系が中国での自社生産や生産委託から撤退しないかが心配だ』と語る」
米国の第3弾関税は、来年1月1日から25%へ引上げられる。これは、米国の輸入業者に供給先を中国から他国へ変えさせる意味で、時間差を付けたものだ。米国の大手IT企業は、中国政府に対して年内に解決しなければ、中国を脱出すると警告済みである。トランプ政権が、巧妙に中国政府を揺さぶっている表れである。
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