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米国は、9月24日から中国製品に2000億ドル相当の製品に10%関税をかけると発表した。中国国内ではこのニュースが、政府系メディアを中心に報じられていない。国民の感情的な反発を恐れたものであろう。

 

中国駐米大使館のSNSは、この事実を発表したので、瞬く間に全土に知れ渡り、多くの書き込みが寄せられている。意外にも、米国寄りの意見で、「この際、徹底的にやれ」とか、「中国の住宅価格を下げてくれ」という無関係なものまで、国民の鬱積した気持ちが読み取れるようだ。

 

『大紀元』(9月20日付)は、「米。第3弾の対中関税を発表 中国ネット『最後までやれ』と歓迎」

 

(1)「米政府が、新たに中国製品2000億ドル相当の関税措置を発表した。しかし、中国共産党機関紙・人民日報を含む政府系メディアは報道を控えている。中国メディアは7月以降、トランプ政権に関して挑発的な態度を抑えている。一方、駐中国米大使館がSNS微博で、トランプ大統領の声明を発表したことで、中国人ネットユーザーから支持のコメントが殺到した」

 

中国政府は、米国を刺激しないように細心の注意を払っていることが分る。名うての「喧嘩上手」なトランプ氏に、さらなる追撃を受けぬようにと、守りの姿勢である。最初に「徹底抗戦」など刺激的発言をした反省だ。これを見ても、米中貿易戦争はどちらが有利か一目瞭然であろう。

 

(2)「中国当局が、通商問題で米側の要求である『ゼロ関税』『ゼロ障壁』に応じれば、中国国民は国内の食品安全問題などから解放される。良質で安全な外国食品や他の製品を安く手に入れることができるからだ。このため、米政府の対中制裁で、インフレ圧力が上昇し中国経済が一段と失速する恐れがあるにもかかわらず、トランプ米政権を支持する人が多い。一部のネットユーザーは米政府に対して、『貿易戦で、高すぎる中国の住宅価格も下落させてほしい』と求めた。ほかにも『貿易戦争を最後までやってほしい。それは中国人の民意だ『トランプは共産党の天敵だ』『外部の圧力だけが中国を変えることができる』などが書き込まれた」

 

中国国民が、米国の肩を持っているようでは、「米国製品の不買運動」などできるはずがない。米国製品が安全・安心を保証していることへの信頼感であろう。同じ理由で日本製品も信頼を集めている。中国製品はなぜ、信頼されないのか。業者と政府が癒着しているからだ。先に子供用の不正ワクチン接種問題で世論が沸騰した。

 

国民は、こういう不正を許す中国政府の存在に、「ノー」を突き付けている。「習近平批判」を書くと拘束される。だからトランプ賛美という形で間接的に、自国政府を批判する。この屈折した心理状態を読めないのが中国政府の鈍感さだ。「米国衰退・中国発展」という習氏の発言は、中国国民から見れば「ご冗談でしょう」と笑い飛ばされる話だ。