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日韓で揉めていた旭日旗掲揚問題で、最も頭を悩ませていたのは韓国銀行(中央銀行)であろう。日韓政府が気まずい関係になれば、韓国にとって喫緊の課題である「日韓通貨スワップ協定」の申し入れが不可能になるからだ。

 

中国人民銀行総裁がこの五月、日中通貨スワップ協定を依頼のため日本銀行総裁を訪ね、頭を下げたのだ。GDP世界2位の中国は、人民元投機の潜在的なリスクを背負っている。このリスクを防ぐには、日本の「円」が持つ信用に頼らざるを得ない。これが、日中通貨スワップ協定依頼の真相である。

 

中国ですら、これだけ気を配っている重要な問題である。韓国のウォン投機が起これば、「円」の信用に頼る局面が必ず起こる。韓国にとっては、日韓通貨スワップ協定が必要なのだ。韓国はメンツが絡んで、自らは言い出せずにいるのは明白。日本からの一声を待っていたはずである。

 

その重要な時期に、韓国与党は「旭日旗禁止法案」を出して騒ぎ立てる。しかも、「旭日旗は戦犯旗で帝国主義のシンボル」とまで言い募り、日本批判のボルテージを上げた。これでは、日韓通貨スワップ協定など、日本が受入れるはずがない。口の悪い麻生財政相から、「頼む先を間違えていないか」と、きつーい皮肉を浴びせかけられるのは必至であろう。

 

韓国は、なぜここまでエキサイトしたのか。

 

『中央日報』(10月4日付)は、「韓国与党議員、日本は旭日旗掲揚の方針を変えなければ外交的に孤立」と題する記事を掲載した。

 

(1)「共に民主党のイ・ソクヒョン議員は4日、済州道(チェジュド)観艦式に日本が旭日旗を掲揚することを韓国が法で防ぐ場合、外交的な困難を生むだろうという指摘に『われわれが(外交的に)孤立するのではない。日本が旭日旗掲揚の方針を変えなければ外交的に孤立する』と主張した。領海や飛行機、運動競技の応援などに旭日旗の掲揚と使用を禁止した、いわゆる『旭日旗禁止3種セット』法案を発議したイ議員はこの日午前、CBSラジオ『キム・ヒョンジョンのニュースショー』とのインタビューで、『われわれが(旭日旗禁止法案を)立法すれば、中国、フィリピンなど様々な国が呼応できる雰囲気』としてこのように明らかにした」

このイ・ソクヒョン議員は、大変な勘違いをしているようだ。旭日旗は、日本の国内法で制定されたもの。国際社会でも承認されている。日本がなぜ、こういう国際的に承認されている旭日旗を掲揚して、外交的に孤立するのか。イ議員は、中国やフィリピンも倣うだろうと期待感を表明している。中国は、外交的に対日接近中である。フィリピンは、日本に防衛面での協力を期待している国である。いずれも、韓国の尻馬には乗りそうにないのだ。韓国は、空騒ぎして後から重いツケが届くに違いない。