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韓国の記者諸氏で、旭日旗問題の本質を理解している向きはどの程度いただろうか。最も派手に騒いだのは中央日報であり、抑制的であったのは朝鮮日報だ。

 

朝鮮日報は、旭日旗問題を取り上げるときは、読者の賛成・反対のコメントを掲載し、それに対する賛成・反対の数も付すなど、細やかな配慮を見せた。日本の読者としては、中立的な立場で記事を読めたのは良かった。朝鮮日報編集局では、旭日旗反対騒ぎは、国際慣例に反していることを十分に理解していたと思われる。そう言えば、同紙の社会部長は東京特派員を長く務めた知日派である。こういう書き方をすると、韓国では「親日」扱いされて不利である。あくまでも知日派としておきたい。

 

『中央日報』(10月5日付)は、「韓国外交部長官、国連に旭日旗問題提起の有無は」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は4日、済州(チェジュ)海軍観艦式での日本の旭日旗掲揚問題に関連して『国際社会でイシュー化しなければならないことかどうかについての問題は、もう少し多くの考慮事項があると思う』と述べた。康長官は国連など国際社会にこの問題を公式に提起する計画があるどうかを問う質問に『いかなる方案が可能か、また適正か検討したい』と答えたもの」

 

国連海洋法条約は「軍艦」に対し、所属を示す「外部標識」の掲揚を求めている。海自艦にとっては自衛艦旗の旭日旗が外部標識で、自衛隊法などは航海中、自衛艦旗を艦尾に掲げることを義務づけられている。以上は、朝日新聞が伝えたものだが、こういう国際慣例を理解している者から言えば、韓国が旭日旗を掲げて入港するな、という要求は違法そのものである。韓国の外交部長官(外務大臣)は、「国連」という言葉を出している。もっとも、韓国記者から「国連など国際社会にこの問題を公式に提起する計画があるどうか」と問われた結果の答弁である。

 

質問する記者の無知と、外務大臣の無知が重なり合った「トンチンカン問答」である。なぜ、外務大臣は、国際海洋法条約の存在を説明して、記者の無知を糺さなかったのか。

 

文政権支持を鮮明にしている『ハンギョレ』(10月6日付)は、「日本、済州観艦式に艦艇を送らないことを決定」と題する記事を掲載した。

 

(2)「今回の日本の海上自衛隊艦艇の済州観艦式不参加に対して、韓国と日本の軍当局はそろって「遺憾」の意を明らかにした。しかし、この事態が韓日軍事協力にどのような影響を及ぼすか、速断することは早すぎる。韓国政府の対日外交政策は、過去の問題と政治・経済協力を分離して処理するという“ツートラック路線”上に立っている。最近韓国政府は、2015年12月の韓日慰安婦合意に基づく「和解癒し財団」の解体方針を日本に伝達するなど、過去の問題に対しては非妥協原則を再確認しながらも、他の分野では韓日間で必要な協力を持続する意志であることも明らかにしている。海軍は今回のことと関連して『遺憾と考え、今回の決定が両国海軍の発展的関係維持に影響を与えてはならないと考える』と明らかにした」

 

韓国政府は、過去の問題と政治・経済協力を分離して処理するという「ツートラック路線」上に立っていると、言っている。つまり、過去の問題は言いたい放題だが、今後の問題は協力し合いましょうという、極めて身勝手な言い分である。旭日旗問題は、現在起こっている問題である。ならば、過去と一線を引いて未来志向で考えられないのか。

 

人間は感情の動物である。「戦犯旗」とか「帝国主義のシンボル」とまでぼろくそに叩いておいて、「これからの問題は宜しくお願いします」で通用すると思っているとしたら、常識外れの国家である。

 

10月8日は、1998年に金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が「日韓共同宣言」を発表してから20年を迎える日だ。韓国側では、新「日韓共同宣言」発表という動きもあったが、旭日旗騒ぎでそんな気持ちが残っているのだろうか。一時の感情論が、「ツートラック路線」の曖昧さを吹き飛ばしてしまった。