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ペンス米副大統領が、ワシントンのハドソン研究所で4日行った演説で、中国は米国の世論操作を目的に、スパイや関税、強硬措置、宣伝工作など「政府ぐるみの取り組み」に従事していると主張した。その証拠とも言うべき中国人産業スパイが起訴された。

 

『ブルームバーグ』(10月11日付)は、「中国情報部員を経済スパイの罪で起訴-米国に身柄引き渡し」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国政府の情報部員が米オハイオ州の航空関連企業から機密情報を盗んだとしてベルギーで4月1日に逮捕され、同国から米国側に身柄が引き渡された。米司法省が明らかにした。同省は経済スパイ活動などの罪で中国国家安全省に所属したシュ・イエンチュン被告を起訴した。訴状によれば、同被告は複数の名前を用い、米欧の航空宇宙企業を標的としていた」

 

シュ容疑者が2013年から今年にかけて、米企業から重要情報や特許などを不正に取得しようとしていたとしている。従業員を勧誘し、意見交換を装って中国へと派遣するなどの手口を使っていたという。中国は、「技術窃取」という動かぬ証拠を突き付けられた形だ。米国の遣り方は、全て証拠を集めてから逮捕・起訴している。この捜査過程で、中国の産業スパイ網が芋狡式に出てくるかどうかだ。

 

中国にとっては、米中貿易戦争のまっただ中で起こった事件だけに、何とも罰の悪い思いをしているにちがいない。

 

(2)「デマーズ司法次官補(国家安全保障担当)によれば、中国情報部員が米国の要請によって国外で逮捕され、米国への引き渡しを経て経済スパイの罪で起訴されるのは初めて。シュ被告が狙った企業の1社はゼネラル・エレクトリック(GE)傘下のGEアビエーションで、同社の協力は捜査に欠かせなかったという」

 

米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)の広報担当者は、シュ容疑者が傘下のGEアビエーションの元社員を標的にしていたが、会社への影響は最小限にとどまると述べた。米連邦捜査局(FBI)の捜査に協力しているとし、軍事プログラムに関する重要情報は標的にされておらず、盗まれてもいないとしている。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月11日付)が伝えた。

 

中国は、スパイ事件でなくても影響力のある人物へ接近している。旅行やもてなしなどして、相手が断りにくい状況へ追い込み、中国の意図を発表させる。あるいは反対させる方式をとっている。著名人が中国側の発言をするときは、その裏に金品が動いていないか疑って見ることが必要である。