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中国経済最大の悩みは、人民元相場の不安定化にある。貿易戦争激化で輸出減は不可避であり、それが経常収支黒字にどのようにはね返るか。息をのむ思いで見ているに違いない。中国の外貨準備高が、3兆ドル台を割り込んだ場合、人民元相場の先行き悲観論は不可避であろう。そのカギは、貿易黒字の減少幅しだいであり、刻々とその時期が迫っている。

 

『ロイター』(10月11日付)は、「中国が資本流出阻止へ窓口指導、元の不安定化も警戒」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国当局が国内居住者による対外投資を制限する「窓口指導」に乗り出している。米中貿易摩擦の激化を背景に、資本流出と人民元の不安定化に神経をとがらせているもようだ。複数の関係筋によると、個人富裕層向けの海外投資の枠組みであるQDLP(適格国内有限責任組合)は、新規認可が棚上げとなっている。また機関投資家向けの海外投資の枠組みであるQDII(適格国内機関投資家)も過去3カ月間、投資枠の新規割り当てが実施されていない。今のところ、2015─16年のような大規模な資本流出の兆しは見られず、こうした非公式の窓口指導は予防手段のようだ」

 

中国当局は、外貨準備高3兆ドル台割れを最も恐れているにちがいない。対外的なシンボルと化しているからだ。これを「種」に経済的な弱小国に圧力を掛けてきた。そのシンボルが「溶けた」時を想像すると、恐怖感に囚われているはずだ。その時期は秒読みである。

 

個人富裕層向けの海外投資と機関投資家向けの海外投資は、過去3カ月間、投資枠の新規割り当てが実施されていないという。中国当局の緊張ぶりが手に取るように分るであろう。

 

(2)「中国が誇る貿易黒字も縮小している。カリフォルニア大のビクター・シー准教授(政治経済学)の推計では、対米輸出が控え目に見積もって20%減少しただけでも、月間の貿易黒字は80億─100億ドル縮小し、約3分の2になる。昨年1360億ドルに上った海外からの直接投資も大幅に減る可能性がある」

 

中国は、対米輸出が控え目に見積もって20%減少する。それだけでも、月間の貿易黒字は80億~100億ドル縮小し、約3分の2になる。昨年1360億ドルに上った海外からの直接投資も大幅に減る可能性がある。どう見ても、中国の国際収支が「火の車」になることは明らかだ。年末になれば、人民元相場の動向が最大の注目点になろう。

 

(3)「直接投資に比べ、海外からの証券投資はずっと不安定で、あっさりと流れが逆転しかねない。中国国家外為管理局(SAFE)の直近データによると、第2・四半期末時点で中国の対外債務総額は5兆3000億ドルで、うち1兆1300億ドルが株や債券などの証券投資だった。ドイツ銀行のG10・FX戦略グローバルヘッドのアラン・ラスキン氏は今週のノートで、人民元安が続けば「自己実現的な資本流出が起こり、制御不能になるとの懸念が高まりかねない」と言う」

 

中国の対外債務総額は6月末で、5兆3000億ドル。うち、1兆1300億ドルが株や債券などの証券投資だった。人民元安が続けば、自己実現的な資本流出が起こり、制御不能になるとの懸念が高まりかねない、とする見方が公然と語られている。すでに、先の世界株安で、中国株も暴落した。海外投資家の大量の売りが起こっている。中国経済に訪れる断末魔が、スピードを上げつつ接近している感を否めない。