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中国政府は、日本へ急接近する対日外交を展開している。10月末には安倍首相が、日本の首相として7年ぶりに訪中する。こういう日中融和ムードの中で「精神日本人」(精日)という現象が起こっている。中国政府は、締め付けに必死だ。

 

こういう現象が起こっている背景は、次の点が考えられる。

 

   訪日中国観光客の激増である。今回の国慶節連休中、海外旅行先として日本が初めて1位になったように人気が高い。これまでの「反日教育」で刷り込まれてきた印象と、全く異なっている事に気付いたのだ。「日本再発見」である。これは、同時に中国政府への疑念を呼んでいる。

 

   「80後」(1980年代生まれ)や「90後」(1990年代生まれ)の間で、次第に「意識変革」が起こっている。これは、所得水準の上昇とともに自意識が高まって結果である。中国政府の一方的な宣伝に疑問を持ち始めている。その具体的な現象が、「精神的日本人」の登場である。

 

最近も、「私は安倍首相の実子である」という投書が現れて話題を呼んだ。前回の「安倍首相は父親である」という投稿者は、警察に勾留された。今度は、「安倍首相の実子」の登場である。期せずして、こういう動きが見られることは、共産主義への強い拒絶感が社会の底流にあることを示唆している。現に、意識調査で「日本を好きだという」比率が4割にも増えている。これは、習氏への拒否感を間接的に表わしたものと盛るべきだろう。

 

『レコードチャイナ』(10月15日付)は、「中国で増える精神日本人、言動がたびたび問題に」と題する記事を掲載した。

 

(1)「『北京青年報』(10月15日付)は、『精日(精神日本人)』と呼ばれる人々が中国でひそかに増えており、ことあるごとに問題発言を繰り返していると批判した。南京大屠殺記念館が11日、公式SNSで「南京大虐殺の生存者の1人である沈淑静(シェン・シュウジン)さんが94歳で世を去った」と伝えたところ、あるネットユーザーが『南京大虐殺はなかった』とコメントし、大きな波紋を呼んだ。このネットユーザーは過去にも同様の発言を繰り返していたという。南京市警察当局は調査に着手した」

 

南京大虐殺を否定する言動は、日本にもある。この事件は、現実に存在した。日中戦争中の悲劇である。問題は、南京被害者の数が日中で大きく違っている点である。中国は、政治的に取り上げている。その結果、過大な被害者数を腰だめで発表し日本批判の材料に使っている。日本は、こういう不謹慎な姿勢を批判する。被害者の数を正しく認識して犠牲になった方々への謝罪と供養をする。こういう宗教的な姿勢と根本的な食い違いがある。

 

(2)「記事は、『中国ではこうした発言は反社会的と見なされるが、ドイツではナチスを公に称賛する発言、米国では人種差別的な発言、日本では皇室批判がタブーなように、国によって公に発言が禁じられる内容は異なる』と紹介。その上で、『抗日戦争は中国にとって複雑で重大な意味を持つ歴史であり、革命に命をささげた先祖の思いを踏みにじり、日本の軍国主義を称賛するような行為には相応の法的代償が伴われるべきだ』とし、「『精日』が姿を現した場合には、ゼロ容認の姿勢で厳しく対処すべきだ」と主張している」

 

南京虐殺事件は、日本軍と国民党軍との間で起こった。共産党軍(八路軍)は、この南京から遠い地域(陝西省延安)へ遁走していた。あたかも八路軍と日本軍との戦闘行為のように言いふらしていることは史実と異なる。日本が南京虐殺事件で、中国共産党の言い分に反発する点はこれだ。当事者でなかった共産党が、あたかも全面的に日本軍と戦ったように言いふらしているのは虚偽である。