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米中貿易戦争は、1840年の阿片戦争の再現である。英国は、清朝と交渉しようと中国へ艦隊を差し向けた。清朝は、問答無用と夜襲を掛けたが逆襲され、ついに英国の条件を一方的に飲まされる形になった。中国が欧米列強の植民地になったきっかけは、無謀は清朝の対話拒否である。

 

現在の中国も、清朝と同じ高姿勢で臨んだ。「徹底抗戦」と言葉は勇ましいが、「焼土作戦」である。この無謀な言葉を吐いて、米国の主張する貿易の不公正慣行には、一度もまともに答えず黙殺。米国の怒りを倍加させてきた。米中の経済力の差をまざまざと見せつけて、中国は米国に緒戦で大敗を喫している。

 

『日本経済新聞 電子版』(10月18日付)は、「中国市場、動揺止まらず、上海株、4年ぶり安値と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国金融市場で動揺が続いている。代表的な株価指数である上海総合指数は18日、ほぼ4年ぶりの安値になった。人民元も対ドルで10年ぶりの安値が視野に入る。米金利上昇で中国との金利差が縮小し、マネーが中国から流出するとの懸念が出ている。米国との貿易戦争や景気減速などマイナス材料が増えており、中国発の市場変調が世界に波及するリスクもある」

 

中国人民銀行総裁は、「万一に備えて万全の体制を取っている」と発言した。この言葉を聞いて、問わず語りに、中国も「万一」を想定していると気付いた。人民元の大幅安と外貨流出を意味するのだろうが、「万全の策」とは何か。それは日中通貨スワップ協定であろう。「日本頼み」なのだ。尖閣諸島問題では、日本に向けて憎悪の限りを見せたが、今はその日本にすがってきた。「一帯一路」も同じである。日本のクリーンなイメージと資金を狙っている。この体たらくで、世界覇権を狙うと言う。どこか、心棒が一本抜けている振る舞いに映る。

 

(2)「18日の上海総合指数は前日比2.9%安と、201411月以来311カ月ぶりの安値を付けた。「外国人の売りがどうにも止まらないようだ」。中国の中堅証券、国都証券の営業担当者は肩を落とす。香港を経由して本土株を売買する「株式相互取引」では10月に入り、大半の日で外国人とみられる投資家層の売り越しが続く」

 

私は、幸いにも中国株について弱気論だけを紹介してきた。中国政府は、外国資金を中国株式市場に導入する道をつくったが、今はこれが仇になっている。外資が徹底的に売り崩している。その利益を海外に吸い取られているのだ。阿片戦争と同じ過ちを冒している。

 

(3)「米長期金利は3.%まで上がり、3.%弱の中国との金利差は0.%にみたなくなった。金利差が約1.%あった1月当時と比べて風景は一変した。米国が年内に追加利上げをするとの観測がある一方で、中国は預金準備率の引き下げなど緩和姿勢を迫られている。中国国内でも『今後はドル資産の選好が強まりそうだ』(地場証券)との声が上がる」

 

FRB(米連邦準備制度理事会)は、トランプ大統領の非難にもかかわらず、金利引上げに進む。年内はあと一回。来年は3回で打ち止めになる。つまり、後4回=1%の利上げだ。米国の10年物国債利回りは3.5%まで上昇する前に、米の株価崩落という見方が増えている。となると、米国で国債売り株式買いの動きが鈍るであろう。「大型台風」の停滞と同じで、中国株は息を抜けない場面であろう。絶えず、米国の長期金利に煽られ「突風」が吹くリスクと同居する。これほど、中国経済の脆さを示す場面も珍しいだろう。米中の経済的な格差を証明する話だ。