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勝又壽良がメルマガを始めます

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11月1日よりメールマガジン(有料)を始めます。

「まぐまぐ!」から「勝又壽良の経済時評」のタイトルで、毎週木曜日に配信いたします。

現在、アメブロで「勝又壽良の経済時評」を2010年5月より、毎日執筆、掲載しています。これをメルマガへ移行させます。

 

中国政府は、今回の安倍訪中で「オモテナシ精神」を全開させている。中国政府が初めて、日本の対中ODA(政府開発援助)が、3兆6500億円にも上がる事実を公表した。これ以来、ネットには日本への感謝が書き込まれているという。

 

中国政府が、これまで親日的ニュースを封印してきたのは、中国国内にくすぶる「反日勢力」への刺激を避けた結果であると説明されてきた、とすれば、現在の「親日的雰囲気」の裏になにか政治的変化があるのかが問われる。習近平氏が、ここまで「親日」OKのサインを出しているのは、「反習近平勢力」の力が衰えたのか。あるいは、依然として「反習近平勢力」は存在するが、日本と妥協しない限り、中国の経済危機を乗切れない。そういうコンセンサスができているのか。

 

中国の内政はこれまで、日本問題が影を落としてきた。日本と接近しすぎれば、反対派が力を持つ。このように、日本問題は「磁石」のような位置にあった。それが、ここまで「日本歓迎」へ切り替わったのだ。正解は、日本と握手しない限り、中国の危機は乗り切れない。だから一時的に政治休戦にするという見方が正しいかも知れない。

 

『レコードチャイナ』(10月25日付)は、「安倍首相の訪中直前、中国ネットが突然、日本に感謝」と題する記事を掲載した。

 

『参考消息網』(10月24日付)は、『安倍首相の訪中直前、中国ネットが突然日本に感謝」と題する記事を掲載した。以下はその概要。

(1)「安倍首相が25日、中国を訪れる。日本の首相の訪中は7年ぶりだ。意外なことに日本が対中政府開発援助(ODA)を終了するとのニュースが直前に報じられ、中国のネット上で『日本に感謝』というちょっとしたブームが巻き起こった。この期せずして姿を見せた『感謝』も、安倍氏訪中の背後にある日中関係の『正しい軌道への立ち戻り』を描写するものだ」

(2)「中国にとって最大の援助国である日本のODAは1979年に始まった。つまり、改革開放の40年間、常に日本のODAの存在があったということだ。79年以降、日本が拠出した額は3兆6500億円に上る。巨額の援助、困窮の中で寄せられた日本の善意に、多くのネットユーザーが『これまでの援助に感謝する』とのコメントを書き込んだ。中国人民大学国際関係学院の時殷弘(シー・インホン)教授は、ネットユーザーが日本の対中ODAに感謝の意を示したことを肯定的に捉えている」

 

(3)「中国外交部の23日の定例記者会見でも、『日本の資金協力は積極的な役割を果たした』とのコメントが報道官から聞かれた。こうした様相は10年前に起きた四川大地震を思い起こさせる。当時、いち早く駆け付けた日本の救援隊が犠牲者に黙とうする写真がネットで紹介され、ネットユーザーらは感謝の気持ちを惜しみなく示したのだ」

ネットに、日本への感謝の言葉が見られるのは、中国政府がそういう雰囲気をつくっている結果でもある。これまで、この事実は伏せられてきたので、中国市民が初めて知った驚きもあろう。繰り返しになるが、中国政府はなぜここまで、日本への親近感を示すのか。

 

私には、次のように見えるのだ。中国にとって米中貿易戦争が死活問題としてのしかかっている。その脱出口を日本に求めた。もはや、「反日」などと言っていられない。そういう切迫感があるのだろう。