14



米国はイラン産原油を対象とする制裁を11月4日に発動する。中国は、イラン産原油の最大の輸入国だ。この中国が、米中貿易戦争の最中にあって、米国の要求するイラン産原油の輸入を続けるかどうか注目されていた。

 

中国外交部の報道官はこれまで、米国の要求するイラン産原油の輸入禁止が不当であるとしてきた。その結果、中国は独自の道を歩み輸入継続を示唆してきた。だが、これとは裏腹に、米国の制裁である金融的な措置を恐れてイラン原油輸入の停止要求を飲むことになった。米国が世界覇権国であり、世界の金融ネットワークを支配している強味には抗えない現実を露呈している。中国の通信機メーカーZTE(中興通訊)が、米国から制裁を受けてあっさり「白旗」を上げたのは、つい3ヶ月前のことだ。

 

『ロイター』(10月24日付)は、「中国のシノペックとCNPC、イラン産原油の11月積荷指示見送り」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の石油精製大手の中国石油化工(シノペック)と中国石油天然ガス集団(CNPC)は、米国の対イラン追加制裁に違反することを懸念して、11月分のイラン産原油の積荷指示を出していない。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。関係筋によると、中国の買い手は制裁の適用免除が受けられるか不透明なため、11月の積荷予約を見送っているという。『(適用免除の有無を巡る)リスクは原油輸入の減少よりもはるかに大きい』と関係筋は話した」

 

イラン原油を輸入するリスクは、「原油輸入の減少よりもはるかに大きい」と指摘している点にあらわれている。中国は、世界の金融ネットワークを握る米国へ対抗できるわけがない。米中貿易戦争でも、この現実を早く受入れ、不公正貿易慣行を是正することが求められている。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月26日付け)は、「中国がイラン産原油の輸入縮小米国の制裁発動控え」と題する記事を掲載した。

 

(2)「中国は、イラン産原油に対する米国の制裁発動を控え、イランからの原油輸入を削減した。これまでは米国の制裁に対抗する姿勢を示しており、方針を転換したことになる。関係筋が明らかにした。トランプ米政権は対イラン包囲網を形成して、同国を経済的に孤立させることを狙っており、イランの最大顧客である中国が輸入縮小に動いたことで、政権にとっては大きな追い風となりそうだ。関係筋によると、中国石油精製大手の中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国石油化工(シノペック)の親会社である中国石油化工集団公司は、11月分のイラン産原油輸入の手配を行っていない。中国はこれまで、日量およそ60万バレルの原油をイランから輸入していた」

 

中国は、イラン原油輸入の首位である。日量およそ60万バレルの原油を輸入してきた。それだけに、米国の圧力に屈するのは、輸入継続の場合に受ける相当のデメリットがあるからだ。

 

(3)「背景には、外交面で危機的な状況に陥っている主要産油国のサウジアラビアが、今月に入り増産する意向を示していたことがある。CNPC傘下の昆侖銀行は 、米国の制裁順守期限である114日までに、イラン顧客に対し取引を停止すると伝達したもよう。昆侖銀行は、イラン産原油の輸入に関する支払いを手掛けてきた中国の主要銀行だ」

 

中国石油精製大手の中国石油天然ガス集団(CNPC)は、傘下に昆侖銀行を抱えている。ここが、米国から制裁を受ければ今後、米銀と金融取引が不可能になる。銀行にとっては最大の恐怖である。中国の最大の弱点は、金融部門が脆弱であることだ。この中国が、世界覇権に挑戦するのは無謀の一言に尽きる。