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安倍首相は28日、中国から帰国後に印度のモディ首相を山梨県鳴沢村の自身の別荘に招き、夕食をともにしながら会談した。八面六臂の大活躍である。日本の首相が、世界の要人と会談を重ねることは、国益増進という意味でも歓迎すべきことだ。

 

今回の印度首相の会談が注目されるのは、中国訪問の直後に会談している点だ。しかも、安倍首相の別荘という私的場所での会談は、日印が親密な関係であることを世界に示した。とりわけ、印度は中国と国境を接しており、たびたび国境紛争を起こしている。安倍首相が、そういう地政学的に緊張関係にある中印首脳と相次ぎ会談することは、日本のバランス外交の面でも高い評価が得られるものだ。

 

『日本経済新聞』(10月29日付)は、「インド太平洋での連携を確認首相 モディ氏を別荘で歓待」と題する記事を掲載した。

 

(1)「安倍晋三首相は28日、来日しているインドのモディ首相を山梨県鳴沢村の自身の別荘に招き、夕食をともにしながら会談した。モディ氏の来日は2729日の日程で、20149月と1611月に続いて3回目。安倍首相との首脳会談は12回目となる。日本側の説明によると、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、地域情勢や日印間の協力について話し合った。北朝鮮問題を巡っては、朝鮮半島の非核化に向けた連携で一致した。安倍首相は27日までの訪中の結果について説明した」

 

日本と印度は、対中国関係では全く同じ立場にある。安全保障面で、中国とは緊張関係にあるからだ。中国は「一帯一路」で、印度周辺国に港湾を建設している。これは将来、中印が軍事的に緊張関係にならぬように、中国が事前に圧力をかけているもの。印度が、「一帯一路」への参加を頑なに拒んだ理由はこれだ。率直に言って、悪いのは中国である。

 

印度は、歴史的に中立を標榜してきたが、モディ首相になってから、米国や日本と安保関係を深める体制を整えている。日本が仲立ちして、米印も安保面で接近しつつある。こうして、「インド・アジア戦略」が中国を対象にしてできあがってきた。日本が、米国へ強力に働きかけた結果だ。日本はまた、豪州とも密接な関係を構築し、将来は日米豪印の4ヶ国が中国と軍事的に対峙する公算が大きい。

 

日本外交が、アジアで自由主義国家群をつなぐ接着剤という役割を果たしているのだ。モディ首相が、訪中を終えて帰国した安倍首相と翌日、会談する意図は明白である。中国

最高指導部の腹の内を知るためである。日本外交の位置も高くなった。