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安倍首相の訪中の際、北京で「日中第三国市場協力フォーラム」が開かれた。日本から約500人の経営者が参加する大掛かりなものになった。目的は、日中が共同して第三国のインフラ投資を行なうというもの。

 

中国による「一帯一路」は政治色が強すぎて失敗の烙印を押されている。財政的に困難な国へ過剰融資してインフラ投資を行なわせる。債務返済ができなければ、担保権を執行して中国に有利な解決法を有無なく押しつけてきた。この問題が、国際的な批判を浴びるとともに、もはや継続困難な状況だ。第一、中国の経常収支黒字が急速に減少する気配で、遠からず赤字に転落するリスクを抱えている。こんな状態で、「一帯一路」の資金供給は困難になるはずだ。

 

そこで、日本へ協力を求めてきたものだ。日本が、そんな悪評さくさくの「一帯一路」を引き継ぐ義理はない。そこで、「第三国市場協力」という看板に変えて、中国の思惑封じの融資基準をつくった。中国の「政治基準」を捨てて、新たに次のような4基準が設けられる。

 

(1)相手国の財政の健全性

(2)開放性

(3)透明性

(4)経済合理性

 

「一帯一路」には、こういう明確な基準があるわけでない。あるのは、「覇権狙い」への基盤づくりという政治目的だけである。前記4基準を当てはめれば「政治目的」は跳ねられてしまうはず。こうして、「一帯一路」は消え去り、「第三国市場協力」とい看板に代わった。事実上、政治的な目的のインフラ投資である「一帯一路」は店仕舞いになった。

 

「第三国市場協力」は、中国と組むだけでない。インドとも共同事業を行なう。先に訪日したインドのモディ首相と合意した。第三国市場となるスリランカやミャンマー、バングラデシュなどでの港湾・道路の整備に日印両国で乗り出す。こうなると、第三国市場でのインフラ共同投資は、日本政府が新たにつくり出してモデルと言えよう。一国で他国のインフラ投資を担って、政治的に支配力を強化するという「新植民主義」阻止には、こうした「日本モデル」による共同投資が有益である。