中国政府が、中国の「新4大発明」と賞賛した「シェア自転車」が、あえなく倒産に追い込まれた。ちなみに、4大発明とは次のような顔ぶれである。

 

高速鉄道は「中国の速度」を示し、都市間の距離を縮めた。

発達したECサイトを通じて、世界各地の消費者の手に高品質の商品が届けられる。

③QRコードをスキャンする決済方法が流行し、財布を持たず外出することが日常茶飯事になっている。

シェア自転車は「最後の1キロ」の解決策を提供し、交通渋滞を効果的に緩和させている。

 

シェ自転車がここまで絶賛されながら、大手企業が倒産の憂き目に遭ったのは、乗り捨てられた自転車の整理ができなかったことだ。自転車の回収まで計算に入れれば、膨大なコストがかかるはず。その肝心なところが抜けていた。お笑い種である。

 

『大紀元』(11月6日付)は、「日本撤退のシェア自転車大手ofo 経営再建を準備―中国メディア」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国紙『界面新聞』(1031日)は、ofoは経営再編に向けての準備に着手していると報じた。同紙は情報筋の話を引用し、ofoの負債総額は約65億元(約1063億円)にのぼると伝えた。そのうち、利用者に返還する保証金は365000万元(約597億円)。また、中国メディア『財経』は4日、2日に中国のIT企業が集まる北京・中関村にある本社ビルから荷物を続々と搬出する同社社員の様子を伝えた。新本社となるのは徒歩15分の距離にあるという」

 

中国社会の新しもの好きで、一時的に人気が高まったが、例によって野放図な経営をしたのであろう。資金繰りがつかなかったことが破綻の原因だ。中国の金融情勢の厳しさを反映しており、貿易戦争という局面で「シェア自転車」の存在など、歯牙にもかけられなくなったに違いない。

 

(2)「中国国内インターネット上で、ofo社員と名乗るネットユーザーが1031日、大規模なリストラが行われていると投稿した。社員数は昨年末の3400人から現在の1000人未満にまで減った。今年に入ってから、過熱化した中国シェア自転車市場は急速に冷え込み始めた。ofoに関しても、従業員の賃金カット、リストラ、資金難、主要幹部の離職、巨額の負債などが伝えられた。1022日、ofoの運営会社の法人代表は、ofo創業者の戴威氏から同社幹部の陳正江氏に変更された」

 

経営再建は可能だろうか。いったん離散した人気は簡単には戻るまい。ビジネス・モデルに問題があるからだ。乗り捨てられた自転車をどのように回収するのか。ここが、解決出来なければ再建は不可能と見る。