中国は今、資金純流出という事態に直面している。米国の中間選挙の影に隠れて報道されることもなかったが、7~9月に投資資金が188億ドルの純流出に見舞われていた。まさに、兵糧攻めが始っている。この調子で、投資資金の純流出が続けば、外貨準備高に大きく響いてくる。

 

中国は、11月末の米中首脳会談に向けてアドバルーンを打ち上げ始めた。何としても、会談を成功させたいという狙いが透けて見える。先ずは、米中融和ムードを盛り上げて、投資資金の流出に歯止めをかけたいのだろう。私は、中国の外貨準備高減少や経常収支赤字が、米中貿易戦争の行方に大きな影響をもたらすと見る。金庫が空になっては、「貿易戦争」を続けられるはずがないからだ。中国は、その瀬戸際に立たされている。

 

この問題は、改めて私の「メルマガ4号」(11月11日発行予定)で徹底解剖する。

 

『ロイター』(11月8日付)は、「米中、今月の首脳会談で成果得るよう尽力すべきー中国政治局員」と題する記事を掲載した。

 

中国共産党の楊潔チ・政治局員(外交担当)は、米中による今月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて行う両国の首脳会談で、前向きな成果が得られるよう取り組む必要があるとの認識を示した。

 

(1)「中国外務省が8日発表した声明によると、楊氏はワシントンで米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に対し、両国は「アルゼンチンでの会談で立場の相違に適切に対応し、前向きな結果を得るよう慎重に準備を行う」必要があるとの考えを示した。また「中国は非対立的で摩擦がなく、互いを尊重する協力の実現に尽力する用意がある」とし、こうした協力関係では双方が勝者になるとの見方を示した。その上で「両国は公平で相互の利益になる交渉を通じて適切な解決策を見いだす必要がある」とし、米中の通商・経済関係の本質は互恵的だと強調した」

 

中国が、自らの体面を守りつつ、米国に対して対等の会談を要望するという妙な声明を発表した。中国に解決の意思があれば、具体案を提示すれば済むこと。会談前にこういう声明を発表する意図は、米国も妥協してくれと言う「哀願」のようにも聞える。米中貿易戦争が、ここまで拡大してきたのは、中国の国粋主義者グループの超強気が災いした。

 

冒頭に取り上げたように、7~9月の資金純流出は188億ドルに上がっている。中国経済の実態は悪化の一途だ。それ故、資金の純流出額はさらに大規模になっているのであろう。だから、純流出を抑える何らかのメッセージを出さざるを得ないのだ。当初に言った「徹底抗戦」などの空元気は完全に失せている。

 

(2)「王毅国務委員兼外相は8日、キッシンジャー元米国務長官と北京で会談し、両国が貿易を巡る対立を確実に解消できるとの考えを示した。中国外務省によると、王氏は「現在の米中の経済・貿易を巡る対立は、公平な対話を通じて適切に解決されるべきで、それは可能だと確信している」と述べた」

 

キッシンジャー元米国務長官がなぜか、こういう局面で高齢にも関わらず登場してくる。キッシンジャー氏は、中国の「代理人」のような役割を果たしているが、トランプ政権への影響力はほとんどない。中国側に接近しすぎているためだ。晩節を汚しているというのが、私の印象である。