韓国経済は泥沼にはまり込んできた。政府系シンクタンクが、来年6月まで就業者は増えないだろう、という予測を出すほど深刻だ。理由は、大幅な最低賃金引き上げにある。文大統領は、最低賃金の大幅引き上げが、社会の公正を守る砦であると頑張っている。いやはや、大学生の弁士が、弁論大会で喋るようなことを恥ずかしげもなく言っているのだ。

 

最低賃金引き上げは正しい。だが、現実の生産性を大幅に上回る引上げは、経済を混乱させるだけである。薬でも、医師の処方箋通りに飲まないと治療効果は上がらない。最賃も同じだ。生産性上昇に見合った引上でなければならない。これは、IMFやOECDも警告している。これを受入れずに暴走する。もはや打つ手はない。暴走して大怪我をし、やっと目が覚めるのだろう。

 

『中央日報』(11月10日付)は、「文大統領 韓国経済ツートップを同時交代」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9日、金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部長官と張夏成(チャン・ハソン)大統領政策室長を同時に交代した。これで現政権初代の経済指令塔の役割を果たしてきた金副首相と張室長は1年6カ月で退陣することになった。文大統領はこの日、金副首相の後任には洪楠基(ホン・ナムギ、58)国務調整室長を内定し、張室長の後任では金秀顕(キム・スヒョン、56)社会首席を抜てきした」

 

日本流に言えば、大臣と次官を同時に更迭したような荒業である。張夏成大統領政策室長は大学教授であり、名うての「やり手」という評価であった。周囲がなんと言おうとも、絶対に協調しない人物像が伝えられてもいた。最低賃金の大幅引き上げには、最適であろうと抜擢されたが、余りの硬骨漢で周囲も手を焼くほど。自分の責任を認めず、前政権に責任を被せるという「典型的な韓国人」の振る舞いを見せていたのだ。

 

この大統領府の政策室長更迭は、最賃の手直しを行なう前兆であろうか。もし、それが実現すれば、更迭による局面転換が期待されよう。政策の手直しがなければ、「コップの中の争い」に終わる。

 

(2)「金副首相と張室長の同時交代は、効果を出すことができなかったので刷新したもの。また、それだけでなく経済政策をめぐって、両氏の間に葛藤を生じていたことも刷新理由になった。学者出身である張室長と、実物経済を扱ってきた金副首相の間で、所得主導成長をめぐって不協和音を露呈していた。これに先立ち、文大統領は6月に経済首席、雇用首席を交代するなど、青瓦台経済チームの雰囲気の反転を狙う一方、8月には二人の経済首長に「完ぺきなチームワーク」を呼びかけ、「結果に職を賭けるという決議で臨んでほしい」と公式に警告したりもした」

経済政策の根本を変えずに、責任者の首のすげ替えを行なっても効果はあがらない。6月に大統領府の経済首席、雇用首席を交代させた。だが、経済実態は悪化の一途である。今回の大掛かりな人事交代があっても結果は見えている。