不動産会社は、今年1~3月期では大量の土地を仕入れていた。住宅販売にブレーキがかかり始めているのに、何と鈍感な営業活動をしているのか。余計なことながら、そういうコメントを付けてきた。その鈍感経営も、7~9月はついに土地仕入れを大幅に圧縮して、慎重な姿勢に変わった。

 

『日本経済新聞 電子版』(11月12日付)は、「中国、万科など大手20社不動産用地取得6割減」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の不動産大手が新規用地取得に慎重になっている。万科企業(広東省)など大手20社が201879月に取得した総面積は、前年同期に比べて6割強減った。米中貿易摩擦による景気の先行き不透明感に加え、直近の販売額の伸びが鈍化したことなどから各社が当面、大きな需要が見込めないと判断したようだ」

 

中国景気は、すでに停滞局面入りしている。今後2年間で、1%ポイント見当の経済成長率が低下しそうな局面で、住宅購入層が大いに絞られるのは当然である。不動産業界は意外と、長年のバブルで経営感覚が狂っているのだろうか。

 

(2)中国の不動産大手20社の実績を集計によると、同期間の取得面積は前年同期を63.%下回った。取得金額も57%減り、特に9月単月では下げ幅は7割以上になった。このうち中国海外発展は期間中、計16カ所で土地を取得した。ただマンション需要の強い大都市では北京の2カ所にとどまり、取得金額は10%減った。各社が用地取得をためらう背景にあるのが景況感の厳しさだ。20社の79月のマンション販売総額は35%伸びたが、伸び率は46月に比べて4.6ポイント下落。需要が鈍化傾向にあることがうかがえる」

 

7~9月期の取得面積は前年同期を63.%下回った。取得金額も57%減り、特に9月単月では下げ幅は7割以上になった。9月の取得金額が7割以上も減ったのは、完全な「戦線縮小」である。来年後半の住宅販売が、この土地取得減に見合った減少率になるのは不可避であろう。「住宅大不況」の到来を予告している。