中国の国家主席習近平氏が来年、韓国と北朝鮮を訪問することになった。アジア太平洋経済協力会議(APEC)で、習氏が韓国文大統領との会談の席で、このような発言をしたと発表された。習氏は来年、先の安倍訪中への答礼とした訪日すると見られている。そうなると、習氏にとって来年は、近隣外交に力を入れることになりそうだ。

 

『中央日報』(11月18日付)は、「文在寅大統領の招請受けた習近平主席『来年に訪韓 訪朝するだろう』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、『韓国と中国は北東アジアの平和・繁栄という戦略的利益が一致するだけに、韓中関係発展と韓半島(朝鮮半島)平和プロセスにさらに緊密に共同協力することを希望する』と話した。習近平中国国家主席との就任後4度目の首脳会談の席でだ。文大統領の言葉に習主席も『(韓中)双方の韓半島情勢安定などに対する協力がとても効果的だった。韓中両国は隣国と協力して韓半島の平和と安全を推進し、公平で公正な国際秩序を遂行することで立場が似ている』と答えた」

 

韓国が、中国に対して外交辞令を言っている様子がよく分かる。こういう歯の浮きそうなことを平気で言うものだろうか。これが、外交慣例なのだろう。

 
(2)「習主席は非公開の会談で、金正恩委員長の答礼訪問と米朝首脳会談に対する肯定的な見通しをしたという。青瓦台核心関係者は『習主席が、ことを成し遂げるには天時、地利、人和が必要だが、その条件が合いつつあると表現した』と伝えた。文大統領は習主席の話に『今年韓半島で全人未踏の平和の時代が開かれている。習主席が3回の中朝首脳会談など韓半島情勢進展に向け建設的な役割をしてくれたことに感謝する』と話した。その上で習主席に『早期にソウルを訪ねること』を要請し、『習主席の訪韓が南北関係をさらに成熟させるだろう』とした。文大統領の招請に習主席は『招請に感謝する。来年都合の良い時期に訪問する用意がある』と答えた。習主席は続けて『金正恩委員長から北朝鮮を訪問してほしいという招請を受けた状態だ。来年に時間を作って北朝鮮を訪問する考えだ』と付け加えた」
 
習氏は、文氏からの訪韓要請に対して、訪朝することも合わせて答えていることが分る。このように、中国が南北「等距離外交」をすることは、南北問題解決に中国を外せないことを言外にアピールして、中国のプレゼンスを高める狙いであろう。

 

習氏はまた来年、日本訪問もしなければならない。このように日韓朝の三カ国を訪問する目的は、対米外交において中国の存在の大きさを見せつけ、対抗心を顕わにする積もりであろう。押されっぱなしの米国に対して、一矢報いる狙いと見られる。

 

中国は、近隣外交を無視しひたすら国防力拡張に努めてきた。これは、安全保障政策では下策とされる。国防力拡張以上に、近隣諸国と友好的でなければならない「基本戦略」に気付いたとすれば、外交政策の転換と言える。さて、内実はどうなのか。