歴史は繰り返すというが、朝鮮戦争勃発を期に1952年、米国は対中国への輸出規制である「チンコム」を制度化した。今回のハイテク製品輸出規制案は、先ず、米国内での意見徴収という手続きを踏むが、チンコム復活となろう。

 

米国が、ここまで中国に厳しい姿勢を取るのは、中国が公然と米国覇権に挑戦する「反米国主義」を前面に出してきたからだ。習近平氏は、党内の民族主義者の煽動に乗ったが、もともと国粋主義の立場である。うがった見方をすれば米国は、この習近平氏を徹底的に追い詰めて、彼の政治的な影響力を低下させる狙いもあるように見える。党内の経済改革派の復活に手を貸すという側面はないだろうか。中国の政治的な癌は、毛沢東主義を奉じる頑迷な保守派である。

 

『ロイター』(11月22日付)は、「米国のハイテク輸出規制強化案 影響を調査ー中国商務省」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米政府は19日、人工知能(AI)やマイクロプロセッサー技術など、14の主要ハイテク分野の技術輸出に対する監視を強化することを提案した。アナリストは、中国を念頭に置いた措置と指摘している。連邦官報によると、米政府は、この提案ついて12月19日までパブリックコメント(意見募集)を行う。米通商代表部(USTR)は20日、米通商法301条に基づく中国の知的財産権・技術移転政策に関する調査の最新報告で、中国は米中貿易摩擦で問題となっている「不当」な慣行を是正していないとの見解を示した。中国商務省報道官は定例会見で、301条に基づく調査報告を深く懸念していると発言。『根拠のない』批判は受け入れないと主張した」

 

米国政府は、14の主要ハイテク技術輸出に規制を掛ける方針である。目的は、中国への技術漏出の禁止である。中国政府は、「中国製造2025」によって、米国の牙城攻略目的を掲げている。この結果、米国は「敵に塩を送る」ことを禁止しようという強硬策である。

 

この案が実現すれば、中国は大きな影響が出る。先にZTE(中興通訊)は、米国から半導体とソフトの輸出禁止措置によって倒産寸前にまで追い詰められた。米国へ「白旗」を掲げて輸出禁止措置を解除されたが、今度は14分野へ拡大される。中国は、ZTEの受けた被害とは比較にならない広汎な影響を受けるのだ。

 

こういう事態を受けて、中国は米中首脳会談でどのような対応策を示すのか。