米中貿易戦争は、来年2月末までの休戦に過ぎない。米国の圧倒的優位の中での交渉。中国に勝ち目はない。この状況で、環境規制による大気汚染改善という「悠長」なことを言っている時間はなくなった。

 

何が何でも、「塹壕」を掘って生き延びなければならない。そのためには、環境規制緩和を緩めて、生産を下支えするほかない。「花より団子」の状態に追い込まれた。

 

『日本経済新聞』(12月4日付)は、「中国、環境規制を緩和、工場一斉休止見送り」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国が企業活動の重荷になっている環境規制の緩和に乗り出した。大気汚染が深刻でも工場操業の一斉停止をしないよう方向転換したほか、冬季の休業も大幅に減らす。足元の景気減速をにらみ、下押し要因を一つでも取り除いておきたいとの狙いがある。だが、北京で大気汚染が2017年より深刻になるなど緩和の悪影響も出てきたもようだ

 

今冬の北京は、再び「殺人スモッグ」に襲われる。景気維持が至上命令となっているからだ。何と底の浅い経済であるのか。この状態で世界覇権を狙うとか、原子力空母を建艦するとか、威勢のいいことを言い募ってきた。その差が、余りにも大きくて驚くのだ。先ず、国民生活の安定が第一であることを教えている。

 

(2)「17年は大気汚染警報の発出時や、査察団の駐留期間に工場や建設工事の一斉停止を求める事例が続いた。『調査に訪れたある西部地域では、域内生産が8割も落ち込んだケースもある』(北京大学の黄益平教授)という。国民の不満が強い大気汚染を改善しようと、習近平指導部が是正を急いだ影響は大きかった。産業界からは『しっかり環境対策に取り組んできた企業も一律に生産停止を迫られた』環境コンサルタント)といった指摘が寄せられた。生産が急減した一部資材が値上がりするなど弊害も表面化しており、対応が求められていた」

 

昨年は、大気汚染改善に乗り出したが、手荒い「一律規制策」で8割も生産の落ちた地域があったという。統制経済のもたらす非効率である。市場機構に基づく「優勝劣敗」の経済運営であれば、こういう「一律規制」という乱暴な政策をするはずがない。中国指導部は、この無駄な中国式経済運営を自慢しているが、見当違いも甚だしい。

 

(3)「すでに地方政府も政策の変更に呼応している。山西省晋城市は今冬、170社を操業停止にする方針だったが、『9社に減らすことにした』(晋城市人民政府弁公室の楊沫氏)。19年3月まで鉄鋼業は50%、石炭産業は30%の生産削減を見込んでいたが、大幅に緩和される見通し。大気汚染の厳しい河南省鄭州市も18年冬の生産停止企業を前年冬に比べ4割以上、減らす方針だ」

 

一世を風靡したローマクラブによる著書『成長の限界』(1972年)は、環境対策は遅れれば遅れるほど、原状回復コストが等比級数的に増える。こう警告していた。中国は、この状況に追い込まれている。率直に言って、「いまごろ、環境改善」とは寝言に等しいと言われても、一言半句の反駁もできないはずだ。国民生活をないがしろにしている中国政府が、米国から「お仕置き」を受ける。今、起っている構図は、こんなところであろう。

 

メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

https://www.mag2.com/p/money/590125

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