中国政府は、今回のファーウェイ副会長のカナダでの逮捕に強烈な反発をしている。この抗議発言が、暴力団まがいのもので驚くのだ。いくら感情的に昂ぶっているとしても、もう少し冷静に振る舞えないのだろうか。

 

ファーウェイ副会長は、10代の息子が米国ボストンの学校へ通っている。だが、2017年以来、米国へ渡航していないのだ。また、ファーウェイの最高幹部も、同様に米国行きを避けてきた。米国によるファーウェイの違法行為捜査を察知して、米国への渡航を回避したものと見られる。母親が、息子に会うべく米国へ渡らないのは不自然であろう。もっとも、バンクーバーに自宅を2軒持っているので、子どもを呼び寄せたと、いう理由は成り立つ。だが、まだ幼年である息子の生活環境が気にならないのか。普通の「母親像」とは異なるようである。

 

『日本経済新聞』(12月10日付)は、「拘束続ければ重大な結果、中国、カナダに抗議
ファーウェイ問題 副会長の釈放要求」と題する記事を掲載した。

 

(1)「カナダが米国の要請に基づいて中国・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことをめぐり、中国がカナダ批判を強めている。中国外務省の楽玉成次官は8日、駐中国カナダ大使を呼んで孟氏の即時釈放を要求。正当な権利が守られなければ『重大な結果を生み、すべての責任はカナダが負わなければならない』と警告した。楽氏はブランスタド駐中国米大使も9日呼び出し、孟氏の逮捕をカナダに要請したことに『強烈な抗議』を申し入れた」

 

中国政府要人が、逮捕されたような大仰な振る舞いである。世界一の通信機メーカーの幹部といえども、孟晩舟氏は民間人である。ファーウェイが事実上、中国政府の別働隊として動いていたことを図らずも立証した騒ぎである。「重大な結果を生み、すべての責任はカナダが負わなければならない」と凄んでいる。いま少し、冷静な言動はできないのだろうか。

 

(2)「共産党機関紙の人民日報は9日付で、孟氏の罪が確定していないのにカナダ当局が『手錠をかけ、足かせをつけた』と指摘。『過ちを正し、中国国民の権利侵害を直ちに止めなければ、重い代償を払うことになる』と強調した。国営新華社通信も孟氏の扱いを『大きな侮辱であり人格無視だ』とした。『カナダの法律に違反していないのに、米国の一方的な主張を聞いて拘束したことは法にも理にも情にもかなわない。カナダ当局に口出しの権利はない』と主張した。新華社はトルドー首相が逮捕を事前に知っていたと認めた点も『中国側に知らせることなく、中国人の感情を傷つけた』と指摘、即時に釈放しなければ『深刻な結果をもたらし、カナダがその全ての責任を負うことになる』と断じた」

 

カナダ政府が、ファーウェイ副会長を逮捕したのは、米加両国による犯罪引き渡し条約に基づくもの。ただ、カナダで単純に逮捕して米国へ引き渡すものではない。カナダは、米国から提示された証拠に基づき、勾留の可否を判断する立場である。こういう法的な手続きを行なっているカナダに対して、威嚇・脅迫する「暴力団」のごとき言動は、厳に慎むべきだろう。中国という国家の未成熟さを痛切に感じさせられる。

 

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