きょう12月18日は、鄧小平が中国経済の近代化開始を宣言した記念すべき日である。あれから40年経ったが、この間、経済改革路線は進んだろうか。「民進国退」と言って、民営企業中心の経済構造を目的にしたが、習近平氏の国家主席就任で逆転した。「国進民退」に変ってしまった。一人の指導者の交代で、あっさりと経済政策が変更になる。独裁国家の恐ろしさをまざまざと見せつけている。

 

「国進民退」の理由は、習氏が「紅二代」で革命時の共産党幹部子弟ゆえに、彼らの権益確保には、国有企業中心の産業構造でなければならないのだ。こういう、私的な理由で、中国の経済政策が転換された。現在起っている経済危機は、国進民退に伴い、経済の計画化が進められ、市場主義を抹殺した結果である。不動産バブルは、市場経済化を封じられた不可避的な現象である。極論すれば、習氏の恣意的経済政策がもたらした歪みである。

 

中国の直面する経済危機は、どのようにして解決するか。経済改革派は、これまで習氏の豪腕で沈黙を余儀なくされてきたが、習氏の権威が揺らいでいる結果、自由に語られるようになっている。この面でも、習氏の権力が後退していることを窺わせている。

 

『ロイター』(12月14日付)は、「改革開放40年の中国、米中貿易戦争で変革促す声高まる」と題する記事を掲載した。

 

(1)米中貿易戦争により、中国の起業家や政府顧問、シンクタンクから、世界2位の経済大国である自国の改革を加速させ、国から抑制されている民間セクターの開放を求める声が強まっている。こうした変化を求める声は、中国の重要な記念日を控えて、一段と高まっているが、政府が主な政策を変更する兆しは見られない。当時の指導者だった故トウ小平氏が「改革開放」を開始してから18日で40年を迎える。一連の画期的な資本主義的実験によって、同政策は中国の大半を貧困から脱却させ、経済大国へと変貌させた」

 

習近平氏は、鄧小平を高く評価していないと指摘されている。深圳にある『鄧小平博物館』は、開館当初は、鄧小平の業績を全面に飾った。だが、なぜかリニューアルして、習近平氏関連の展示物を前面に出す小細工をして批判を浴びている。これは、習氏が鄧小平の業績を超えたという自負によるものだという。だが、習近平氏は鄧小平を超えたかどうかは、今後の実績次第だ。時期尚早と言うべきである。習氏が、鄧小平を好かない理由は、彼の亡父と鄧小平が不仲だったという説がある。これが事実とすれば、「習近平は小物」である。

 

(2)「中国は以前から、自国のペースで広大な市場をさらに開放する意向だと明らかにしてきた。今が、その時だと考える政府顧問の数はますます増えており、改革が米国との貿易摩擦を沈静化させるだけでなく、中国経済の長期的向上を確実なものにさせる、と彼らは主張している。米国は中国に対し、産業助成金をやめて国が主導する経済モデルから転換し、自国市場を米国製品に開放し、知財窃盗や強制的な技術移転を取り締まるよう求めている。『米国からの圧力が改革の原動力となるかもしれず、これは中国にとってチャンスとなり得る』と、中国政府のアドバイザーを務める人物はロイターに語った。『中国に対する圧力はとても大きく、われわれは長期的な準備をすべきだ』と」

 

中国の改革派は、完全に息を吹き返している。自由にロイター記者に見解を述べていることに驚くのだ。習氏は、こういう発言を禁じてきた。それが、解禁されているのは、習氏の権力後退を示唆している。

 

中国の改革派は、米国の要求に半ば同意していることに注目すべきだ。米中交渉が、米国の完全勝利であるという私の判断の根拠は、こういう中国改革派の意見のなかにも見いだせると思う。

 

(3)「今後の(米中)交渉で合意に至るには、中国は一段の市場開放や助成金の削減、知財保護の改善を含むいくつかの譲歩を迫られるだろうと政府関係者らは言う。だが、中国は自国の競争力に不可欠な産業発展計画を棒に振るつもりはない、と付け加えた。『米国は中国に改革ペースを速めるように求めているが、それはわれわれの利益と一致する』と別の政府顧問は話す。『われわれは市場志向の改革を推進するが、急ぎすぎず、西側モデルを完全にまねるわけではない』と」

 

中国は自国の競争力に不可欠な産業発展計画を棒に振るつもりはない、と言っている。だが、その根幹たる技術をどこから持ってくるのか。中国が世界覇権意欲を捨てない限り、米国と同盟国の技術封鎖は続く。さらに、中国を西側経済圏から排除する動きは一層、強まるはずだ。中国は世界の孤児になろう。こういう中で、習近平氏の「永久国家主席」など、中国の経済界改革派が、拒否するはずだ。習近平氏による米中貿易戦争「開戦論」は、取り返しのつかない愚行であったことが、ますます明らかになってきた。

 

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まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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