訪日観光客が順調に増加している。12月18日現在で3001万人に達した。日本政府観光局(JNTO)が発表したもの。クルーズ船需要が好調だったという。11月の国・地域別では、中国が前年同月比8.8%増の61万人余と最多を記録している。

 

3000万人の訪日観光客が、日本経済にどのような好影響を与えているかを見ておきたい。

 

『朝鮮日報』(11月4日付)は、「岐阜・高山の英語ガイド」と題するコラムを掲載した。筆者は同紙のイ・ドンフィ産業1部記者である。

 

このコラムは、朝鮮日報記者が休日を高山で過ごしたことを素材に、人口減で悩む地域がいかに観光客を集めて、人口減のもたらす需要減をカバーしているか、数値を含めて説明するユニークなコラムである。

 

(1)「約10年前、日本の多くの地方都市のように人口が減り、商店街が一時の活況を失うと、働き口を失った青年たちは町を後にした。こうしていては町そのものが消滅してしまうのではないか、という恐怖が押し寄せてきた。その活路を外国人観光客の誘致に求めた」

 

飛騨高山が、人口減対策として外国人観光客を誘致に活路を求めた話だ。

 

(2)「いわゆる『1対8の法則』を突破口としたのだ。高齢化と低出産で国民1人が減ると、1年に120万円の消費が消える。しかし、1回の訪問で1人当たり15万~16万円を使う外国人観光客を8人誘致すれば、1人の成人人口が生じるのと同じことになるのだ。この法則を実現するために、10年にわたって高山市は英語を教え、案内標識を取り換え、海外の旅行博覧会に参加した。モニタリングチームを設置して、外国人の立場から観光インフラを点検。施設の改善を図った」

 

「1対8の法則」があるという。日本人1人が減れば、外国人観光客を8人誘致することで、経済的な損失をカバーするもの。日本人1人の年間消費額120万円の減少分を、外国人消費額1人平均15~16万円の8人分でカバーするというのだ。

 

12月18日現在で、訪日観光客は3000万人である。日本人の消費額に換算すると375万人分になる計算だ。この「1対8の法則」を使うと、日本経済に大きなプラスがもたらされていることがわかる。

 

(3)「努力は功を奏した。1日でも高山に宿泊したことのある外国人観光客は、1997年の3万人から昨年には18倍の52万人へと急増した。観光による後押しで雇用と設備投資は2兆ウォン(約2000億円)に上った。高齢化と人口減少に伴う内需の絶壁と景気低迷は乗り越えることができるということを、高山は証明しているのだ。観光入国政策を10年以上にもわたって続けてきた日本には、高山のような所が数多く存在する」

 

高山市は、1997年に3万人の観光客(宿泊を含む)が、現在は52万人に増えていると言う。先の「1対8の法則」によれば、6万5000人分の高山市民の消費額に値する。昨年12月末の高山市の人口は、8万9280人だ。外国人観光客で6万5000人分の人口増に匹敵する消費がある計算だから、市の財政に相当の貢献をしている。宿泊設備を整えれば済むわけで、市民に必須の設備である学校・公民館等々の経費は不要である。こう考えると、外国人観光客の誘致は、最も効果的な産業誘致になろう。

 

メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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