中国は、原子力空母を含めて3隻の空母体制と構築している。その中国が、「いずも」型護衛艦の空母化を大騒ぎしている。中国は、本格空母である。日本は「ミニ」空母である。中国は、それほど騒ぐ意図は何か。むしろ、興味はそこに向く。

 

中国の意図では、中国が唯一の軍事大国として君臨し、他国は属国扱いしたいのであろう。現実は、「安全保障のジレンマ」が示すように、他国も中国からの軍事リスクを軽減すべく、それなりの防衛力を備えるものである。日本新防衛計画大綱は、規模は小さいが中国軍拡の反映であるのだ。こういう理屈を理解しない限り、中国軍拡は日本との関係で「いたちごっこ」の繰り返しになろう。この理屈を、よく頭に入れるべきだ。

 

『人民網』(12月24日付)は、「日本の新『防衛計画大綱』は進攻計画の大綱ー中国専門家が指摘」と題する記事を掲載した。

 

中国軍事専門家の杜文龍氏は、中国中央テレビ(CCTV)の取材に、新「防衛計画の大綱」は「進攻計画の大綱」であり、いわゆる「専守防衛」ではないと指摘した。

(1)「従来、『防衛計画の大綱』は10年ごと、またはそれ以上の周期で見直されることが多かったが、近年見直しの周期が明らかに短くなっている。日本メディアによると、今回安倍政権はわずか5年で再び見直し、各種防衛装備の拡充を加速したのみならず、空母化など議論のある内容を盛り込んだため、防衛政策が『専守防衛』原則の制約を突破し続けていることを問題視する声が日本各界から挙がっている」

日本の防衛政策の基本は、専守防衛である。侵略意図はないから、外敵を迎え撃つだけである。ただ、敵軍の日本攻撃態勢が明確な場合、事前にそれをキャッチしながら放置することが、戦略上有利かどうかという判断を迫られると思われる。その場合は、米軍に対応して貰い、続いて自衛隊の出動になるのか。いずれにしても、自衛隊は米軍と一体である。自衛隊の「独走」は日米同盟の関係であり得ない。

 

中国は、尖閣諸島の防衛が日米安保の範囲かどうかを詮索していた時期があった。米国が、日米安保の対象であると明言して落胆した経緯がある。中国が、尖閣占領を狙っていることは疑いない。日本が尖閣防衛体制を固めることの不満として、専守防衛に反するなどの詭弁を使っているに過ぎない。日本の防衛問題に口出しすればするほど、中国の狙いが透けて見えるのだ。


(2)「杜氏は、今回の『防衛計画の大綱』には進攻面で大胆な想定と行動がある。特に多用途航空母艦の建造及び現有艦艇の空母化は、海上での拡張が日本の今後の重要な一歩となる可能性を物語っている」と指摘」。

 

日本が、中国軍に蹂躙されない態勢をとるのは当然のこと。中国がとやかく干渉すべきではない。日本政府が、「空母3隻反対」と発言したことはない。日本は黙って、防衛体制を固めるだけなのだ。

 

(3)「新『防衛計画の大綱』は『進攻計画の大綱』であり、いわゆる『専守防衛』ではない。日本が多くの分野で重大な変化、さらには転覆的な変化を起こした場合、軍事力バランスを含む地域全体の情勢に深刻な傾きが生じ、地域、周辺、さらには世界に対して悪影響をもたらすだろう」とした

 

日本が、専守防衛を止めるはずがない。日本は、憲法と財政面・人的面での制約から、他国領土まで出張って戦争するほど愚かでない。太平洋戦争敗戦の教訓は、永遠に伝えられてゆく。中国こそ、新興国の暴走で最も危惧される存在になっている。日本を心配する前に、中国は、巨大軍事予算の重圧で「第二のソ連」にならないことだ。中国経済の衰退と巨大軍事予算の狭間で、中国はどこへ行くのか。中国は、それを真面目に議論する必要がある。

 


 

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