中国は、EV(電気自動車)の世界一を狙って国を挙げての取り組みをしている。その裏では、関連技術不足を補うべく技術スパイを行なわせている。米司法省は、スパイ容疑で中国人を逮捕したと発表した。

 

『ロイター』(12月24日付)は、「米司法省、機密情報を盗んだ中国人を逮捕」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米司法省は21日、米国の石油会社から機密情報を盗んだとして中国国籍の男を逮捕した。10億ドルを超える製品に関する情報を盗んだ。エネルギー市場の川下製品の研究開発に関する数百の資料を盗み、中国企業に供与しようとした疑い。容疑者の男は2017年5月からオクラホマ州バートルズビルのフィリップス66で研究者として勤務していた。フィリップス66は「バートルズビルで勤務していた前従業員に関する案件で米連邦捜査局(FBI)の捜査に協力していく」とコメントした。FBIは容疑者のパソコンからリチウムイオン電池の材料の生産ラインを開発している中国企業との雇用契約を発見した。押収した資料は携帯電話とリチウム電池システムに関する機密情報という

 

この事件は、典型的な中国の経済スパイ行為である。先ず、研究者として米企業に潜り込ませる。そこで、機密情報を盗み出すというパターンだ。米国政府は現在、中国人研究者と大学院留学生に強い警戒をしており、入国ビザ発給も抑制している。

 

事件の概要は、次の通りである。

    10億ドルを超える製品に関する情報

    リチウムイオン電池の材料の生産ラインを開発の中国企業への持出し

    携帯電話とリチウム電池システムに関する機密情報

 

この3つを並べれば、窃取を唆した企業がどこか見当がつく。ファーウェイであろう。あくどいことをするものだ。

 

中国当局は近年、電気自動車市場での「強国」を目指している。製造業振興政策「中国製造2025」でEV産業は重点分野の一つと位置付けられているほど。このため、アフリカでの巨額投資を通じて、EVに欠かせないリチウムイオン電池の原料であるコバルトの独占を狙っている。

 

『大紀元』(12月17日付)は、「EV市場の覇権狙う中国、アフリカで電池原料の独占図る、米国は新戦略で対抗」と題する記事を掲載した。

 

(2)「中国共産党政権に近い中国語メディ『多維新聞』は10月11日『「レアメタル争奪戦、中国がアフリカ援助で布石」と題する記事を掲載した。同記事によれば、中国当局はコンゴで銅とコバルトの採掘権を得るために、アフリカで経済援助とインフラ整備を展開するなど数年前から周到な用意をしてきた」

 

この記事からも窺えるように、EV強国を狙うためにアフリカで勢力を拡大している。リチウムイオン電池の原料であるコバルト独占も目的だ。こういう一連の流れの中に、今回のスパイ行為が行なわれた。それにしても中国は大胆である。基幹技術を窃取させて「世界一になる」という野望を持っているから驚くのだ。

 

先進国では、このコバルトを必要としない技術開発が行なわれている。新技術開発は次々と進んでいる以上、中国の資源獲得戦略はいずれ失敗するという見立てが多い。

 

 

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