12月29日、米中首脳の電話会談が行なわれた。習氏が、米中通商交渉の早期解決を求めたことが分った。これは、米中貿易戦争によって中国の被害が甚大であることを物語っている。中国は、不動産バブルの処理が進まない段階で、米中貿易戦争の大波を被り、いまや瀕死の重傷である。習氏が、ここまでへりくだってきたのは、自らの政治責任追及の声が強くなっているのであろう。「徹底抗戦」を叫んだ張本人が、恥を忍んでトランプ氏へ電話をかけたのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(12月30日付)は、「習氏、貿易交渉で早期合意を、トランプ氏と電話協議」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は29日、トランプ米大統領と電話協議し、両国間の貿易交渉について『双方が歩み寄ってウィンウィンかつ世界の利益になる合意をできるだけ早くまとめたい』と呼びかけた。1日の首脳会談で決めた交渉内容に関して「両国の交渉団が積極的に進めている」とも強調した」

 

中国の当局者は、米国が次々と要求のハードルを引上げていると困惑してきた。今回の習氏の電話会談により、米国が要求する合意書の文書化と事後点検を受入れたのだろうか。後で取り上げるトランプ氏のツイッターでは、「大きく進展しつつあるぞ!」と投稿している。この線で進んでいると見られる。

 

中国経済が、相当に「痛んでいる」ことは間違いない。独裁国の習氏がここまで折れてきたのは、自己の権力の座が危うくなっているという危機感があるはずだ。8月初めの長老を交えた「北戴河会議」では、米中貿易戦争を始めた習氏の責任が問われたという。その時は。自信満々で反論するほど元気があったが、その後の事態悪化で習氏の形勢がにわかに不利になっている。

 

(2)「中国共産党機関紙の人民日報(電子版)が報じた。北朝鮮問題についても意見交換し、習氏は「朝米が引き続き対話によって前向きな成果を得ることを支持する」との立場を改めて表明。201911日に米中国交締結40年を迎えることにも触れ、「中国は中米関係をとても重視している。お互いの重要利益を尊重しつつ関係を発展させていきたい」とも語った」

 

米中首脳電話会談は、人民網が報じたもの。トランプ氏との電話会談の成果をいち早く報じたかったのだ。それほど、トランプ氏の感触が良かったと見られる。来年年11日は、米中国交締結40年になる。習氏は、これに賭けている。それにしても、APEC(アジア太平洋経済協力会議)では、ペンス米国副大統領と丁々発止でやり合ったが、もはやそういう力もなくなってきたのだろうか。

 

トランプ米大統領は29日、中国の習近平国家主席との電話協議後にツイッターで「取引はうまくいっている」と明かし、貿易戦争の打開に向けた米中協議が順調に進んでいると訴えた。トランプ氏は「長くとても良い電話協議をした」と指摘。来年年31日が期限の米中協議を念頭に、「もし合意が成立すれば、包括的であらゆる分野や争点を網羅したものになる。大きく進展しつつあるぞ!」と強調した。日本経済新聞電子版が伝えた。

 

メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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