韓国海軍が、日本の映像公開で次々と反論しているが、これまでの韓国側の主張を否定して、事実上、噓を認めていることに気づかないほど慌てている姿が滑稽である。

 

問題の起った海域が、日本の排他的経済水域(EEZ)であるという重大事実を忘れている。海上自衛隊哨戒機の警戒水域である以上、眼下の韓国駆逐艦が何をしているのか関心を持つことは当然である。それにも関わらず、哨戒機が低空飛行して「威嚇した」などと言いがかりを付けている。重ねて言う。日本の管轄権のある海域なのだ。

 

排他的経済水域とは、どういうものなのか。

 

海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される、天然資源及び自然エネルギーに関する「主権的権利」、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する「管轄権」が及ぶ水域のことを指す。

 

『中央日報』(12月30日付)は、「哨戒機映像公開の波紋続く、韓国『非紳士的な威嚇飛行』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国軍関係者は28日に防衛省が公開した映像を分析した結果、日本の哨戒機が20日に東海(トンヘ、日本名・日本海)の大和堆近くの韓日中間水域で遭難した北朝鮮船舶を捜索した韓国の駆逐艦「広開土大王」に500メートルの距離まで接近し、150メートル上空で威嚇的に飛行したと把握した。軍関係者は「当時広開土大王は浸水していた遭難船舶の救助活動任務をしていた。日本側が非常に緊迫した救助状況にあるのを知りながら意図的に低空威嚇飛行をしたのは救助活動を妨害するもので、国際慣例を無視した非紳士的な行動」と指摘した

 

下線を付けた部分は、これまでの韓国側の主張を否定し、「噓」であったことを認めたに等しい。従来は、北朝鮮の遭難船を捜索するためにレーダー照射していた。それが、たまたま哨戒機に向けられたと弁解していた。事実は、その時点で北朝鮮漁船は発見され、救助中であったのだ。これで、レーダー照射の意図が、海上自衛隊の哨戒機の威嚇であったことを証明した。

 

「低空飛行したことが救助活動を妨害した」と、逆に日本を非難している。この海域は、日本の排他的経済水域であるから、哨戒機が低空飛行するのは当然の任務である。

 

(2)「また別の関係者は、『日本の海上哨戒機は空対艦ミサイルなど武装搭載が可能な航空機。こうした武器体系特性を考慮すると韓国の艦艇に近接飛行するのは艦艇の安全を脅かす非常に危険な行為』と主張した

この下線部分で、意図的にレーダー照射したことを問わず語りに示している。韓国駆逐艦もミサイルを保持しているはずだから、自らを被害者ぶった弁解をすべきでない。レーダー照射は日本側が行なったものではない。韓国が行なったのだ。この事実関係をぼかしてはならない。

 

(3)「軍の一部では安倍政権が急落した支持率を引き上げようと強硬手段を取っているのではないかとの指摘も出ている。日本が映像を公開し哨戒機乗組員の相互交信内容の相当量を「ピー」という音で消去処理しながらも「This is Japan Navy(こちらは日本海軍だ)」として自分たちを「海軍」と称したのも安倍政権の指向が投影された呼び方という分析も出ている

 

安倍政権の支持率は、高位安定型である。支持率の上下は普通の現象だ。政権7年目を迎えており、任期一杯務めれば日本の政治史上、突出した在任期間になろう。その安倍政権が、韓国に強い姿勢で出て支持率を上げる必要はさらさらないのだ。

 

自衛隊の日本語名称は海軍でないが、英語では「海軍」である。外国に対して、英語で「海軍」と言って何の不都合があるのか。韓国が、海上自衛艦を国際観艦式に招待したのも「海軍」と認めた結果でないのか。それを、今さら対外的に「海軍」と言ったから、安倍政権の志向を表わしていると言い募るのは、「牽強付会」(けんきょうふかい)と言うべきだ。歴代政権の下でも、英語では「海軍」である。日本語は「海上自衛隊」だ。日本人自身が、この矛楯に気付いていない点もおかしい話だが。

 

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