40年前の12月、深圳が中国の改革開放の起点になった。中国経済発展の原動力として、深圳を舞台にIT関連企業が大きく羽ばたいてきた。だが、米中貿易戦争で、ハイテク産業が最大の争点になっている。順風が一転して逆風に変った。米国は、中国のハイテク企業がスパイ活動の一翼を担うと警戒の目を向けているからだ。先進国は、一斉にファーウェイ(華為技術)製品を排除する方針を固めている。

 

これでは、ファーウェイ墜落は必至である。深圳のリーディングカンパニーであるファーウェイの凋落は、深圳の凋落にもつながる。危機感が強まってきた。

 

『ブルームバーグ』(12月30日付)は、「改革開放40年起点の地深圳、逆風に直面、貿易戦争で富の流出続く」と題する記事を掲載した。

 

(1)「香港に隣接する深センには、ブルームバーグ・ビリオネア指数に基づく世界の富豪上位500人に入る資産家が経営する企業8社が本拠を置く。馬化騰氏の騰訊控股(テンセント)や王伝福氏の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)などだ。だが、モーニングスター・インベストメント・サービスのアナリスト、チェルシー・タム氏は、『トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争に伴い、中国インターネット株から2018年に“富の流出”が起き、既に深圳では多くの富豪が打撃を受けている』と話す。インターネットビジネス向けの広告収入が減少し、経済成長鈍化への懸念が響いている」

 

深圳は、世界の富豪上位500人に入る資産家が経営する企業8社が本拠を置く、という。いかに急成長したかの証である。

 

(2)「ハイテク銘柄の多い深圳総合指数は年初来で約30%下げており、11年以来最悪の年間パフォーマンスに向かう。北京にある長江商学院の劉勁教授(会計・財務)は『深圳など各地の企業家は今後数年、強い逆風に直面するだろう。世界の市場はもはやオープンではなく、国内需要も十分ではないという可能性が目の前にある』と述べる」

 

株価の深圳総合指数は、年初来30%の下落になった。上海総合指数の下落率25%を上回る不振である。深圳の発展は、中国のハイテク企業の成長にかかるが見通しは暗い。前述の通り、ファーウェイへの海外評価が極めて警戒的であることだ。

 

英国国防相は、次のように警戒発言をしている。

 

英紙『タイムズ』は12月27日、英国のウィリアムソン国防相が、英国の第5世代(5G)移動通信システムに中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が参入すれば、通信システムを通じて中国のスパイ活動が可能になるとの懸念を示したと報じた。日米などでは同社製品を排除する動きが出ており、英国でも本格化する可能性がある。同国防相は、5G通信網へのファーウェイの参入に関して「重大で、非常に強い懸念を持っている」と述べた。その上で、セキュリティー上のリスクを全面的に点検することが必要だとの見解を示したという。以上は、日本経済新聞12月28日付が伝えた。

 

ここまで、はっきりとファーウェイ製品が次世代通信網「5G」へ進出する危険性を指摘している。ファーウェイ製品が、中国国内だけでは需要不足は明らかである。まさに、ファーウェイの危機は、深圳の危機でもある。

 

メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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