韓国は、重苦しい雰囲気の中で新年を迎えた。宇宙人のような文大統領には、景気がいかに深刻であるかが分らないのだ。今年の最低賃金引き上げも10.9%と二桁引上げである。今年と去年で、約30%の最賃引上になる。この最大の受益者は、文政権支持基盤の労組である。最賃と大企業労組の賃金は無関係のはずだが、韓国は連動している。最賃引上の最大受益者を満足させられればそれで良し。文政権の本音はこんなところであろう。

 

韓国に3度目の経済危機が襲うのでないか。こういう危機感が充満している。一方では、そういう経済危機が襲っても、韓国経済は必ず復活するというコラムが登場した。

 

『朝鮮日報』(1月1日付)は、「それでも韓国は生き残るだろう」というコラムを掲載した。筆者は、同紙の金基哲(キム・ギチョル)論説委員である。

 

(1)「10年前の新年は、元日の朝から暗かった。前年9月に起きた投資銀行リーマン・ブラザーズの破産に伴う米国発の金融危機が、日本・欧州連合(EU)といった先進経済圏までマイナス成長に転換させた。韓国も直撃弾を受けた。本紙は、同年の新年号1面に「大韓民国は危機のたびに成長してきた」という企画を載せた。「韓国経済は危機に強い。危機のたび新たに成長し、ワンランクさらにアップグレードする」と記した。韓国経済はその後、自動車・携帯電話・半導体を輸出の主力として疾走した。危機に強い韓国の底力が蘇った」

 

10年前の今日の朝鮮日報は、暗いムードに支配されている社会を鼓舞して、下線を引いたような激励の記事を掲載したという。だから、今度も切り抜けて見せるという「決意表明」のコラムである。本当に、これから襲い来る韓国経済の危機を乗り越えられるだろうか。

 

(2)「今年も、先行きは暗い。米中貿易戦争はまだ前途の分からない霧の中で、韓国の輸出の「けん引車」だった自動車・携帯電話・半導体はよろめいている。雇用は増えず、さまざまな統計の数値も灰色一色だ。最低賃金を引き上げ、週52時間労働制を施行したにもかかわらず、低所得層の暮らし向きがよくなったというニュースはちっとも聞こえてこない。逆に、飲食店・コンビニといった、また別の『弱者』が悲鳴を上げるばかりだ。出口は見えない。それでも、陽はまた昇る。己亥(つちのとい)年の新年が明けた。年初の暗鬱な心配が年末にはハッピーエンドで終わることを、両手を合わせて祈っている。韓国はへたり込まないだろう。20年前、10年前がそうであったように、『韓国は生き残るだろう』」


このコラムを読んでの率直な感想は、韓国経済を取り巻く構造変化に全く気付いていない点だ。こういう記事を社説として書いたら、論説委員会での非難は免れまい。それほど、表面的な現象に惑わされているように思える。コラムだから許されるのかもしれない。

 

10年前の韓国経済と現在の違いは次の点だ。

 

    全人口に占める生産年齢人口比の違いだ。当時は、生産年齢人口(15~64歳)の比率が上昇中であり、「人口ボーナス期」にあった。景気押し上げ要因の原動力として機能したのだ。そのピークは2016年。それ以降は「人口オーナス期」であり、景気下押し要因となって逆回転している。これでは、意味もない楽観論が成立しないのだ。

 

    産業構造が、当時の重化学工業から現在は第4次産業構造と言われるように、ロボット工学、人工知能、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット、3Dプリンターなどと広がりを見せている。韓国がこの分野で秀でたものがあるだろうか。実はゼロである。現在の韓国経済は半導体輸出で支えられている。この奇形状況が崩れれば、それで一巻の終わりになる。

 

    文政権は、経済政策に無関心である。関心を持っているのは北朝鮮問題だけと言っても良いほどだ。この偏った政策が、韓国経済を追い込んでいる。最賃の大幅引上げのもたらす欠陥で、韓国経済はガタガタ状態に落込んでいる。この状態からの脱出には、最賃大幅引上げの中止が前提になる。これは、事実上の文政権崩壊につながる。

 

以上のような点から、仮に3の最賃大幅引上げを中止したとしても、後の2つの条件が残っており、「僥倖」は起らないと言うほかない。

 

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