中国人の深層心理が垣間見える興味深い記事が出てきた。中国で急成長するニュースアプリの「今日頭条」が掲載した記事だ。このアプリは、編集者がいなが徹底的にパーソナライズ(個人化)した情報を売りにしている。

 

こういうメディアに出てきた記事だから、中国人でも「超右翼」(中国が世界一と信じる習近平ファン)に好まれている記事であることを先ず、理解した上で読んでいただきたい。同時に、中国人の力への信仰が極めて強いことを示唆している。中国4000年の歴史は、こういう「腕力信仰」を産み出しているのだろう。欧米の洗練した文化からみると、何とも泥臭い「習近平流儀」が浮かび上がってきそうだ。

 

『サーチナ』(1月2日付)は、「日本の文化は奴隷根性、日本を服従させる最良の方法は」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国メディア『今日頭条』(12月27日)は、日本の文化は『奴隷根性』であるとする記事を掲載した。それによると、かつて日本が唐文化に学び、近代では明治維新で欧米に学んだことに由来するようだ。『強いものに服する』ため、『日本の文化は奴隷根性』だとしている」

 

ここで認識すべき点は、文化には二つの流れがあることだ。一つは、絶えず新しい文化に挑戦してそれを吸収する積極的文化だ。もう一つは、新しい文化に遭遇すると、その文化と闘わず、自分の伝統的な文化に逃げ帰る消極的文化である。前者の典型例が日本、後者の典型例が中国である。中国が4000年の歴史を持ちながら、民主主義になれない理由は、新しい制度への恐怖にある。要するに、政治的な臆病者である。

 

日本を奴隷文化とあざける中国文化の浅薄さは、もはや絶望的ですらある。国民から人権を奪い、支配階級だけが自由を謳歌する。そのことに何らの疑問も持たない中国共産党とは何か。マルクス主義という仮衣装を身に纏っているが、中身は国民を搾取する支配階級だ。それを許す中国文化が、日本文化の本質を理解できるはずがない。

 

(2)「記事は、現在では米中間の複雑で微妙な関係のなかで、日本は最近、中国に対して『善意』を示し、近づこうとしていると主張。自動車関税などで圧力を強める米国と距離を置き、中国と手を組むべきとの意見が日本メディアからも出ていることや、日中間の通貨スワップ協定が再開したこと、中国の外務大臣が9年ぶりに日本を訪問している最中に、旧日本軍の731部隊に関する情報を明らかにしたことなどを挙げ、『ますます多くの日本人がどのように中国や米国に接するべきかを考えるようになっている』と論じた」

 

中国国内では、日本が中国へ接近しているという宣伝であることが分る。真実は逆である。経済的行き詰まりで「ボロを出す」(経常赤字の表面化)前に、日本と和解しておく必要があったから、「ニーハオ」と笑顔を見せるようになったに過ぎない。


(3)「日本には現在、多くの米軍基地があり、軍事的には米国に依存していて、米国の影響力から逃れられないが、米国の言いなりになると国益を害するため、『親中』派の首相がたびたび登場していると記事は分析。しかし、『普通の国』を目指す日本は、軍隊を持ちたいと思っており、そのために中国を挑発するのだと主張、中国の脅威を煽ることで、米国から軍事強化の許しを得て拡大しているが、実際のところますます強大になっていく中国を見て日本は中国に近づく良い機会と思っているのだという

 

安倍首相が、「親中派」という分析である。もし、中国でそういう見方があるとすれば、安倍首相は相当の政治家だ。本音を隠して中国で振る舞っている。国益第一で、自らの信念を中国では封印しているのだろう。韓国の文在寅大統領は、安倍首相を見倣うべきだ。韓国で「反日」を煽って、韓国の国益を台無しにしているのだ。

 

下線を引いた部分は、吹き出すほどの自信過剰である。「笑わせるな」と言いたいほどの民族主義が芬芬(ふんぷん)として伝わってくる。中国は、こういう自信過剰に陥っているので、世界覇権まで夢見るようになっているのだろう。

 

(4)「記事は、再び『日本は強者に服する』と強調し、中国としては自らを強大にすることこそ、日本を服従させる最良の方法であると主張した。実際、日中関係は最近になって改善の方向へ向かっているが、これは米国との関係が悪化していることを意味しているわけではない。米中という2つの経済大国の間で日本は、外交面で難しいかじ取りが求められるが、今のところうまくバランスの取れた外交をしていると言えるのではないだろうか」

 

日本人の8割が中国を嫌っている。もっと率直に言えば軽蔑対象である。そのことも知らずに、中国が強大化すれば、日本を服従させられると「ご託」を並べているのだ。軽蔑するほかない。日本文化は、「侍文化」と言える。物質的な欲望がなく、人間の生き方に強い関心を持って来た文化である。中国社会の「物質第一、精神性ゼロ」という生き方と根本的に異なるのだ。この水と油の日中文化が、融合することはない。日本人が、中国社会に親近感を持てないのは、物質第一主義というその軽薄さに耐えられないのだ。

 

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まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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