日本は、文政権になってこれまでの日韓協定が、すべて反古にされる事態になった。日本人は、腹の底から戸惑い怒っている。同時に、「韓国人とは何者か」という根本的な悩みに直面している。ネットでは、韓国に対する怒りの声が圧倒的だ。もっともではあるが、彼らはなせ、政府間の協定まで破るのか。ここは、怒りを抑えて「病気の原因」を探るべきであろう。

 

日本の侍は、「武士に二言はない」と言えば、約束を違えた場合に切腹を意味する。自分の命に代えても約束を守るという意味だ。明治時代の庶民は、武士の生き様を手本にして、約束を守ることが、近代ビジネスの規範になった。これは、プロテスタンティズムに通じるものである。プロテスタントの規律は、カソリックには見られない厳しさがある。世界経済で発展した、米・英・独と北欧諸国は、すべてプロテスタントである。同じキリスト教徒でも、カソリック諸国の経済は今一つ。それは、規律(約束)を守らないからだ。

 

さて、韓国はどうか。約束を守らないことは文政権になって一層、明らかになってきた。そう言えば、文在寅大統領はカソリックである。韓国の場合、キリスト教信者は多いが、本質は儒教である。つまり、儒教道徳の影響を受けているはずだ。

 

儒教の最高道徳は、仁とされている。仁とは、社会における上下の秩序を守ることである。極めて曖昧な面があることに注意すべきだ。上下関係は、社会や経済の発展状況によって変ってくるもの。特に、儒教の「陰陽五行説」では、社会は循環しながら変動するとしている。今は貧乏でも、いずれは大富豪になる可能性もあると教えるのだ。韓国が、絶えず「ゴールポスト」を動かす根本的な理由がこれだ。

 

心理学では、「集合的無意識」という言葉がある。個人は、自覚していないが過去の歴史や祖先の経験が、遺伝して行くというユングの考え方である。韓国人が、今なお日韓併合を恨みの対象として捉えているのは、「集合的無意識」のなせる業であろう。

 

結論を急ごう。

 

韓国人は、「陰陽五行説」と「集合的無意識」に立っている。日本との経済的な格差が過去よりも縮まってきた。だから、過去には日本へ要求できなかったことも、現在は可能になったので過去を蒸し返して要求すべきである。これが、「ゴールポスト」を動かすメカニズムである。韓国人には都合の良い話だが、日本人には受入れがたいことである。この水と油では、相互理解が不可能である。

 

以上のような、予備知識を頭に入れて、次の記事を取り上げたい・

 

『中央日報』(1月4日付)は、「約束を守る国・日本、正義が重要な国・韓国」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙のユン・ソルヨン東京特派員である。

 

(1)「新年早々、安倍晋三首相は『ルールを守る国』を強調した。ある新春対談ラジオ番組に出演して韓国を『ルールを守らない国』の範囲にそれとなく組み入れた安倍首相は『自分のことばかりでは結果的に、国際社会は経済成長できないし、安全保障面でも不安定になる。ひいては自国にとって大変なマイナスになる』と述べた。韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決を狙った質問と返事だった」

安倍首相は、「ルールを守る国」を強調する。これは、世界の普遍的ルールである。

 

(2)「最近会った韓国問題担当の日本外交官は、韓国と日本の認識の違いを説明しながら「韓国語の『オルバルダ』という表現を日本語で表現するのが一番困る」と告白した。「オルバルダ」が「正しい」という単語だけでは説明できないという話だった。日本人にとって「正しい」は、決められた基準に沿って行うことをいう。合意や約束があればそのとおりすることが「正しいやり式」だ。韓国で通用する「オルバルダ」の意味は、それこそ時代によって異なって受け止められる。「オルバルダだ。韓日慰安婦合意や大法院の強制徴用賠償判決がそうだ」

 

韓国には、「オルバルダ」という言葉がある。日本では、「正しい」と訳す。時代が変ってもその価値基準は変らない。韓国の「オルバルダ」の意味は、それこそ時代によって異なって受け止められる。つまり、「正しい」という意味は時代を反映するという。この違いは極めて大きく、埋められないギャップである。日本人の価値基準と全く合わない以上、約束ごとが、いつ反古にされるか分からないのでは、外交関係は成立しない。

 

韓国の「正しい」の内容が、時代とともに変るのは、「陰陽五行説」による循環論を背景にしていると思う。ただ、哲学や文学の世界では許されても、法律(契約)の世界では混乱を招くこと必至である。中国人の発想法と同じだ。

 

(3)「静岡県立大学の奥薗秀樹教授は、韓日間のこのような違いを『重要視する価値が違うため』と説明する。『日本は約束を守ることが重要な国である一方、韓国は正義を重要視する国』という説明だ。それなら互いの違いを理解して隙間を埋めようとする努力でもしなければならないが、そうしようとする行為が十分に感知されておらず心配だ」

 

日本人の絶対的な正義と、韓国人の変化する正義では、衝突して当然である。日本人は、そのたびに、「過去の反省が足りない」、「もっと賠償金を払え」と永遠に言われ続けるとしたならば、日本人の忍耐に限界がある。日本の価値基準は、世界標準の普遍性を持つ以上、韓国に世界標準に合わせて貰うべきだ。

 

昨日、メルマガ18号 「日韓決別!日本の安保戦略で役割低下、韓国へ『縁切り状』渡す」(有料)を発行しました。ぜひ、ご一読をお願い申し上げます。