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アフリカのケニアで、中国のあくどい高利貸し商法の内幕が暴露された。契約内容は、絶対公開しないという約束になっていたが、地元メディアによって報道された。地元関係者は一斉に抗議しており、中国と交渉し直すとしている。

 

中国融資の資金は、36億ドルで中国輸出入銀行がケニアへ融資したもの。鉄道建設資金である。契約書によると、中国の文書による了解がない限り、契約概要を公表しないという「秘密協定」になっていた。中国側は、よほど秘密にして置きたかったのだろう。

 

ここで、ケニアの概要を説明しておきたい。

 

人口   4970万人(2017年)

政府債務残高対GDP比 54.2%(2017年)

実質GDP 553億ドル(2017年)

外貨準備高  79億ドル(2017年)

輸出高    57億ドル(2017年)

輸入高   166億ドル(2017年)

1人当り名目GDP 1695ドル(2017年)

 

中国は上記のようなケニアに対して36億ドルを貸し付けて、2022年までに元利金の完済を約定に謳っている。外貨準備高は79億ドルあるが、貿易赤字が109億ドル(2017年)もあるので、輸入代金は分割払にしない限り支払い不能だ。要するに、中国は、こういうケニアの資金繰りを承知で貸付、2022年までという短期間に返済させる高利貸し手法で、担保の差し押えを狙っていたことが分かる。だから、契約内容の公開を絶対拒否という秘密取引を狙ったが、ついに世界中が知るところなった。

 

『大紀元』(1月17日付)は、「中国融資ケニア鉄道、契約内容が暴露、『主権を理由に返済免除する権利はない』」と題する記事を掲載した。

 

ケニア最大日刊紙は最近、主に中国融資で建設されている標準軌鉄道(SGR)の借入に関する契約内容の一部を暴露した。そこには、借り手であるケニアが「主権を理由に免除する権利はない」と記されていた。国際社会に批判されている中国債務トラップ外交の狙いがあらわになった。現地紙デイリー・ネイションは115日、2014年にケニア政府と中国輸出入銀行との間の契約内容を報じた。記事によると、両国の機密保持条項により、ケニア政府は中国政府の書面による同意なしに契約条件を開示してはいけない。このため契約の詳細が明らかになることはまれだ。

 

(1)「ケニア独立以来最大のインフラであるSGRは、貿易や物流を円滑にさせたが、中国は巨額な借金をケニア政府に負わせた。2017年5月に開通したモンバサ~ナイロビ間358ロの建設のため、ケニア政府は約36億ドルを中国の銀行から借り入れた。国家予算の5分の1に相当する額だが、ケニアは2022年までに利息を含む36億ドルを返済しなければならない。報道によると、国内からの反発を受けて、政府上層部はSGRのための資金調達、建設運営に関わる計画を見直すための緊急会議を開く予定」

 

2017年に開通した鉄道の建設費36億ドルを5年後の2022年までに完済できるはずがない。それが不可能であることを知って貸し付けた。『ベニスの商人』以上の悪辣商法である。完全に担保狙いである。中国は悪い国であることを天下に発表した契約内容だ。

 

(2)「契約は、ケニアが債務不履行に陥った場合に失われる資産の範囲について規定している。デイリー・ネイションによる契約の抜粋によると『借款国(ケニア)およびその資産は、主権を理由に(返済を)免除する権利はない』と記されている。さらに、SGR建設および運営には、中国『商品、技術およびサービ』を使用しなければならないと規定していたという」

 

中国は、鉄道を担保に取る積もりだったろうか。鉄道建設と運営には中国の「商品、技術およびサービ」の使用を義務づけていたから、担保として取り上げた後、中国が運営して利益を上げる算段であったかもしれない。ケニアの貿易赤字から見て、めぼしい資産はありそうもない。農業が主産業である。政情不安もあるケニアで、中国は何を担保に狙っていたのか。