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文在寅政権の経済失政は、目を覆うほどである。単なる理念を語るがピンボケであり、労組と市民団体からの受けだけを狙った空虚なものである。これまで、朴槿惠政権を支えてきた野党は、「朴弾劾」で不人気の極にあった。だが、文政権による経済政策の迷走によって、前政権への見直しも進み始めている。

 

この空気の変化に乗るように、朴政権で首相を務めた黄教安氏が動き出している。最大野党の自由韓国党への入党を発表した。次期大統領選に合わせた動きであろう。

 

『時事通信』(1月16日付)は、「文政権と戦う強力な党に、韓国の黄前首相が宣戦布告」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国の朴槿恵前政権で首相や大統領権限代行を務めた黄教安氏は15日、保守系最大野『自由韓国党』入党に合わせ記者会見し、『文在寅政権と戦う強力な野党になることが第1の課題だ』と強調、文政権に事実上の『宣戦布告』を行った。黄氏は、次期大統領選への出馬が予想される有力者の支持率調査で、知日派の李洛淵首相に次いで2位につけており、文大統領の支持率が下落する中、『台風の目』となる可能性もある」

 

黄氏は、検察出身であり朴政権では法務大臣を務めた後、首相に就任した。朴前大統領が弾劾されたため大統領権限代行を務めた。前回の大統領選に出馬を勧める声もあったが固辞、朴政権の一員としての責任を全うすると発言するなど、一本筋を通してきた。

 

文在寅氏の支持率が低下する一方で、北朝鮮への無節操な妥協が、保守派の不安を高めている。保守派は、次第に力を盛り返しており、今後の韓国経済が失速すれば、保守派の野党への期待も高まるであろう。

 

前首相の最大野党への入党の一方で、与党「共に民主党」から、元大統領の故・金泳三氏の次男が離党する動きもあった。こちらは、文在寅政権への不満から離党したもの。

 

『中央日報』(1月13日付)は、「金泳三元大統領二男、政策に役立たない与党からの離党を表明」と題する記事を掲載した。

 

金泳三元大統領(故人)の二男の金賢哲(キム・ヒョンチョル)金泳三民主センター常任理事が12日、入党から約1年8カ月ぶりに「共に民主党」を離党する意向を明らかにした。 金理事はこの日フェイスブックで、『文在寅大統領に』という手紙形式の文を通じてこのように明らかにした後「足りない私はこれ以上現政権の政策と方向に全く役に立たないと判断し短い民主党生活をたたもうと思う」とした。以下は、フェイスブックでの全文である

 

これは、文政権がいかに国民の期待に応えていないか。それに深く失望している様子が描かれている。

(1)「彼は、『国家存亡の問題である北朝鮮との完全な非核化を通じた究極的な南北統一の問題を彼らの見方でなくわれわれの見方で必ず見つめなければならない。その過程で発生するすべての不協和音は持続的な疎通を通じて解いていかなければならない』と強調した」

南北の不協和音は、持続的な接触による意思疎通が必要としている。もっと、慎重に対話を進めろという意味かもしれない。


(2)「続けて、『いわゆる雇用創出に向けた方法の衝突は多くの企業と国民が合理的に望む方向を探すべき。現政策の問題点が繰り返し指摘され実際に経済に及ぼす影響が多大ならばいまからでも果敢に政策修正を通じた経済活性化で先に立たなければならないだろう』と頼んだ」

最低賃金の大幅引上げは、弊害が出ている以上、果敢に政策修正が必要である。


(3)「また、『そのほかに脱原発問題もわれわれの環境問題だけでなく持続的な戦略産業の育成次元でかけ離れた政策ミスが発生しないよう管理していかなければならないだろう』と強調した」

原発廃止も政策ミスを犯さないようにすべきだ。戦略産業としての原発について再検討するように求めている。

 

(4)「彼は、『私の父もそうだったが、とても意欲的に働くのは良いが周辺の多くの人たち、側近だけでなく野党とも絶え間ない対話を通じ積もっているさまざまな難題を賢く解いていくよう心から望む』とした」。

側近だけと話すのでなく、野党や国民との対話が必要である。

 

(5)「彼は、『私は率直に現在多くの国民が当初期待していた現政権の変化と改革が成功裏に終わることを心より望む。これ以上不幸な大統領の悪循環を見たくない』と話した。その上で、『任期が終わるまで初心を失わず、ばらばらになった国民の傷ついた心をひとつにまとめられる知恵を発揮することを切実に望む。どうか人間らしい暮らし、国らしい国ができるよう単に現政権だけの問題ではない国の成否がかかった切迫した問題として認識するよう望む』と呼びかけた」

 

文政権は、失敗の政権に終わることを警告している。「これ以上不幸な大統領の悪循環を見たくない」と微妙な発言をしているが、このまま行くと、国民の不満が溜まって弾劾の動きが起ると言っているのか。あるいは、次期大統領選で保守派が勝利を収め、再び「積弊追放」で文政権の要職者が司法の手にかかる危険性を示唆しているのか。

 

最後は、「どうか人間らしい暮らし、国らしい国ができるよう単に現政権だけの問題ではない国の成否がかかった切迫した問題として認識するよう望む」としている。文政権を支持している労組や市民団体にだけ顔を向けた政治を批判しているようにも見える。

 

文在寅氏が大統領就任後、満2年にもならない時点で、これだけの欠陥をもつ政権である。それに愛想を尽かして離党するのだろう。深刻に受け止めるべきだ。