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政治は、国民を幸せにするためにある。韓国では、庶民を苦しめる逆転現象が起っている。自らの支持基盤である、労組と市民団体の支持喪失を恐れているためだ。前政権を追い詰めた「ロウソク・デモ」の主導者が、前記の二団体であった。文政権は、支持者を大切にする政権である。

 

去年と今年で、最低賃金は約30%もの大幅引上である。この直撃を食っているのがコンビニ経営だ。コンビニ従業員の賃金が、店長の給料を上回るという珍現象が起っている。こうなると、夜間で来客の減る時間帯の営業を止めた方が採算的に良くなる。「24時間営業」のコンビが、減少に向かっている。韓国ならではの話である。

 

『韓国経済新聞』(1月17日付)は、「不況に最低賃金引き上げ、韓国で24時間営業のコンビニ消えゆく」と題する記事を掲載した。

 

(1)「コンビニエンスストアのイーマート24は、昨年1313店の新規店舗を出した。このうち店主が24時間営業を選択したのは132店で10%にとどまった。残りの1181店は夜12時から午前6時まで閉店する。イーマート24関係者は、『今年に入って店舗を出した店主のうち24時間営業を選択したところはほとんどない』と話す」

 

深夜営業は、夜12時から午前6時までを指す。この時間帯のコンビニ営業店が、新規開業のコンビニではほとんどなくなっているという。韓国人が、夜更かしを止めて朝型の生活に切り替えた訳でない。文大統領の「石頭」が、招いた現象である。

 

(2)「24時間営業の代名詞であるコンビニが深夜時間の営業をやめている。最低賃金、賃貸料などコンビニ運営コストが、急激に上がった上に景気不況まで重なり深夜売り上げが振るわないためだ。イーマート24が、16日に明らかにしたところによると、昨年24時間営業をしていない店舗の割合は77.1%に達した。2017年の68.2%から大幅に増えた。昨年の新規店舗の約90%が24時間営業を断念した影響が大きかった」

 

昨年、新規コンビニ店舗の約90%が、24時間営業を断念したという。開店早々で、需要動向がしっかり掴めないことも、深夜営業をためらわせているに違いない。

 

(3)「韓国国内に3700店を展開するイーマート24は、営業時間を店主の自律に任せている。24時間営業時に本社に払うロイヤルティーを下げ、電気料金など補助金を出して24時間契約を最大限誘導する他のコンビニとは異なる。このためイーマート24の24時間営業店舗の割合は、店主の実際の需要を反映する。店主は、最低賃金引き上げが最も負担になると話す」

 

コンビ店主の話では、最賃の大幅引上げが深夜営業を止める最大の理由という。

 

(4)「昨年ソウル・登村洞(トゥンチョンドン)にイーマート24を新たに出店した加盟店主は、『最近は夜遅くまで会食したり会合をする人がほとんどおらず、夜10時を過ぎればお客はまばらだ。人件費も出ないと考え夜12時を過ぎたら閉店する』と話した。コンビニ業界1位のCUで24時間営業をしていない店舗の割合は2016年の10%から昨年末には19%まで増えた。GS25で24時間営業をしないと本社に要請した店舗は2016年が182店、2017年が211店、昨年が223店と着実に増加している」

 

最近のソウルは、夜遅くまで会食したり会合をする人がほとんどいない。夜10時を過ぎればお客はまばらだという。これが、ソウルの夜の風景とすれば、不況そのものと言えそうだ。最賃大幅引上げが、雇用を悪化させそれが回り回って消費者行動すら変えてしまったとなると、景気面への影響は甚大であろう。コンビニ24時間営業が減っている裏で、韓国経済は確実に泥沼にはまり込んでいるようだ。