a0960_008629_m
   

変れば変るものだ。中国の商業用不動産投資で外資が活躍している。2000年代の日本では、いわゆる「ハゲタカ」が倒産しかけた日本企業や不動産を安値で買収し、再生させて高値で売却する動きが盛んだった。不動産バブル崩壊後の惨めな姿である。

 

そのハゲタカの腕利き外資が、中国で商業用不動産投資を活発化させている。これまでは、国内資本が支配していた不動産市場で、勢力地図が塗り変っているのだ。中国経済の衰退を象徴する話である。

 

『ブルームバーグ』(1月18日付)は、「外国企業の中国商業不動産投資、18年は過去最高-地元勢と対照的」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の商業不動産市場で海外投資家が存在感を高めている。当局によるレバレッジ解消の動きを背景に売り手に回ることが増えた国内勢を横目に、米ブラックストーン・グループやシンガポールのキャピタランドなどによる投資が目立つ。中国全土での外国企業の商業不動産投資は2018年に62%増え780億元(約1兆2600億円)と、05年からのデータで年間記録を更新したとCBREグループが発表。上海では全販売の半分強を海外勢が占めた。この流れは今年も続きそうだ」

中国の商業用不動産市場では、確実に海外資本の買収が力を付けている。ショッピングセンターは、集客力が落ちている。軒並み「フォー・セール」の赤紙が付けられているのだ。海外資本が、これら物件に目を付けているのだろう。上海では昨年、半分強が海外資本によって占められたという。この流れは、今年さらに強まりそうだ。

 

(2)「対照的に巨額債務に苦しむ海航集団(HNAグループ)など中国企業は、これまで積極的に進めていた海外投資を巻き戻しているほか、国内不動産の売却も進めている。コリアーズ・インターナショナル・グループの中国資本市場責任者ベティ・ワン氏は、『何年もの間、海外投資家が応札の準備をする際に地元勢の入札参加はどのくらいかと尋ねられ、複数の社があると私が答えるたびに外国勢は非常に動揺していた。昨年は完全に両者の立場が逆転した』と述べた」

 

中国の複合企業は、なぜか不動産投資に手を付け失敗した。海航集団(HNAグループ)は、米国でもホテル買収に熱を上げたが、今は売却側に回っている。中国の不動産バブル崩壊を示す象徴的な例である。

 

(3)「海外投資家にとって人民元下落は購入価格の低下を意味し、中国のきつめの金融環境を受け国内勢は不動産の買いよりむしろ売りに向かうことが多くなっている。CBREの中国調査責任者サム・シエ氏は、『デレバレッジ政策が借り入れコストを押し上げ、国内投資家の需要を弱くしている』と話し、外国の買い手には『ファイナンス上の利点がある』と説明した。CBREが1000万ドル以上の売買案件をまとめたデータによれば、昨年は中国全土での商業不動産購入の31%が海外企業によるものだった。コリアーズは上海と北京を合わせるとその割合、19年に40%にも上る可能性があるとみている」。

 

中国企業は、信用収縮に伴い金融機関からの借入が困難になっている。そこで、自社ビルを手放して資金繰りを付けている。この状況こそ、日本がまさに2000年代に経験した道である。この日本で「ハゲタカ」が注目された。今や、それが中国に現れている。強烈な「腐肉」の臭いが、漂うのであろう。習氏の統治時代に、不動産バブルが崩壊したのだ。