a0001_000269_m
   

中国人の海外旅行熱は、ますます高まっている。昨年、中国の海外旅行者数が延べ1億4000万人に達した。17年より13.5%と二桁増の記録だ。その旅行熱は、南極の氷を溶かすほどである。18~19年の観光シーズンで、南極旅行者の5人に一人は中国人観光客という。

 

地球上いたるところに中国人旅行客が現れる時代だが、観光消費額は昨年1200億ドルにも達した。今後、年間100億ドル以上の増加が予測される。これが、中国の国際収支に大きな影響を及ぼすことが確実となってきた。経常収支の赤字を増やす要因として政府が、いずれ手を打たざるを得まい。昨年通年の経常収支の発表はまだだが、1~9月で128億ドルの赤字である。経常収支の赤字は、中国にとって不名誉この上ない話なので、海外旅行で何らかの手を打つであろう。

 

中国政府は、外貨準備高の減少を防ぐ手立てとして、すでに資本移動に厳しい制約をかけている。一方で、海外旅行は自由で貴重なドルを使い放題というアンバランスなことは放置できなくなろう。国民の不満を買っても、一人当たりの消費額に制限を設けざるを得まい。

 

『人民網』(1月17日付)は、「中国、18年の海外旅行者数が述べ1億4000万人」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国旅游(観光)研究院がこのほど発表した「2018観光経済運行総まとめシリーズ報告」によると、18年、中国大陸部の旅行者は157ヶ国に旅行に行った。おなじみの人気旅行先のほか、これまではそれほど人気ではなかったローカルな国に行く人も増え始め、人気となっている。現在、中・東欧16ヶ国に旅行に行く中国人が急増中だ。13年には延べ28万人だったその数は、17年に延べ137万人にまで増えた。南極を見ると、18-19年の観光シーズン、中国人観光客は延べ1万人に達すると見られている。南極旅行者の5人に一人は中国人観光客という計算になり、南極にとって中国人観光客は「超お得意様」となっている」

 

中国人旅行客の渡航先が、これまで人気のなかった国まで足を延ばし始めたのは、海外旅行常連客が登場してきた証拠だ。「旅行マニア」である。中国政府が、旅行制限する時代になれば、この「旅行マニア」が対象になるような感じもする。

 

(2)「中国旅游研究院の戴斌院長は、『中国人の海外旅行は、世界の観光業の発展に多大な貢献をしている。17年の世界のインバウンド客を見ると、中国人観光客が全体の10%を占めていた。また、同年、中国人観光客の観光消費額は1000億ドル(1ドルは約108.46円)以上となり、18年には1200億ドル以上に達したと見られている』と指摘する。中国国家旅游局が発表している統計によると、中国は長年、世界一の観光客の送り出し国の地位を保っており、18年もその地位を守り、さらに、タイ、日本、韓国、ベトナム、カンボジア、ロシア、モルディブにおける最大の観光客の送り出し国の立場も維持したと見られている」

 

世界中の海外観光客の10%が中国人という。各国の消費にそれだけ寄与しているわけで、中国バブル景気のお裾分けに預かっている計算だ。中国人外国旅行は、この不動産バブルによる支えがあったのだから、これが沈静 化すればなんらかの影響が出てもおかしくはない。