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韓国国内は、今回のレーダー照射問題で韓国が勝ったと見ている節がある。日本の協議打切りが、日本にとって不利と判断したと一方的に思っているからだ。「反日」とは恐ろしいものである。問題の本質を冷静に判断させる機会を奪っている。

 

ひとまず、日韓の応酬は終わった。今回の問題が引き起こした「韓国イメージ」は、大きく傷ついたはずだ。例の劇画風のBGMをつけたビデオをつくって、自らの噓を隠して日本を非難した積もりだが、専門家の目を騙すことはできない。最大の失策は、米国の信頼を失ったということにつきる。誤りを誤りとして認めず、相手を非難して糊塗する。典型的な韓国社会の流儀を世界に披露した。

 

『中央日報』(1月23日付)は、「哨戒機問題、国内の世論がすべてではない」と題するコラムを掲載した。筆者は、チェ・ビョンゴン/国際外交安保チーム長である。

 

(1)「戦闘で勝利したからといって戦争で必ず勝利するのではない。戦闘で勝っても戦争では負けることが少なくない。現在、韓日間で生じている、いわゆる哨戒機問題がそうだ。しかし国内で世論の支持を受けて国内の戦闘で勝つとしても問題は解決しない。日本は韓国の世論を相手にするのではないからだ。日本が攻撃的、公開的、執拗に出たのは国際社会と米国に向けてだ」

 

韓国は、レーダー照射問題で勝ったという世論が多数のようである。「反日罪」まである国である。反日は、国是にしているような国家だ。今回の問題の裏には、文政権になってから、日韓関係の枠組みがすべて壊されてしまったという事情がある。これを忘れて、議論しては片手落ちだ。

 

(2)「安倍政権は在韓米軍の縮小や撤収まで念頭に置いた中長期戦略を立てている可能性がある。トランプ政権は非核化交渉を進める見返りに韓米連合訓練を中断した。北朝鮮が「北朝鮮非核化」の見返りとして要求する「韓半島(朝鮮半島)非核化」には、外交的・軍事的・経済的体制保障がすべて含まれている。外交的体制保障が米朝国交正常化なら、経済的体制保障は対北朝鮮制裁解除だ。軍事的体制保障は在韓米軍の役割の中断だ。ところが米国の立場では在韓米軍に代わる保険はすでに準備している。玄海灘の向こうに在日米軍がある。安倍政権が韓国軍との葛藤を執拗に提起できた自信は、在韓米軍はなく在日米軍はある未来を眺めたからではないだろうか」

さすがは、筆者の見方は鋭いと思う。日米は、米朝合意後の朝鮮半島の安保体制を視野に入れていると指摘する。在韓米軍の役割が縮小されれば、在日米軍の機能が強化される。米軍は、韓国よりも日本との関係をより深くする方向に動くと見ているからだ。その通りと思う。韓国世論は、この深い意味が分らずに騒いでいる。


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(3)「(韓国)国内の世論を動かして日本を叩けば痛快だ。しかしこれがすべてではない。日本は韓国の世論に臆するような国でないうえ、日本の世論も韓国叩きで結集した。何よりも本当の戦いは韓国の外側で起きている。北東アジアの安保で日本の地位が高まっていて、この過程で日本が韓国を相手に『真実ゲーム』に出たと見なければいけない。(韓国は)日本との口論に没頭すれば『井の中の蛙』式の認識だ。もっと重要なことは、急変する北東アジア安保で韓国の地位を守ることだ。米国であれ日本であれ北東アジアで韓国は欠かせないと思わせることが、こうした真実ゲーム攻勢を防ぐ根本的な解決法となる」

日本は、北東アジアの安保体制で韓国の役割を無視していると指摘している。日本の安保体制において、韓国のランクは5番目に落ちているからだ。米国、豪州、印度、東南アジア、そして韓国である。過去は2番目にランクされていたから「急落」した。韓国は、すでに日本から見捨てられた位置にある。驕り高ぶっていると、足下を掬われる大きなリスクを抱えていることに気付くべきだろう。