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米国は、次世代通信網「5G」で中国ファーウェイ(華為技術)を排除する総力戦を繰り広げている。「5G」は、軍事戦略において決定的な影響力を持つとされている。それだけに、米国は同盟国を巻き込んで「ファーウェイ絶対排除」への守りを固めている。

 

『大紀元』(1月28日付)は、「5G競争、米が勝たなければならないゼロサムゲーム」と題する記事を掲載した。

 

米紙『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)は126日、米中対立が深まり新時代の軍事設備の競争が進行中だと主張した。この軍備とは、ミサイルなどの伝統的な兵器ではなく、5G網の支配を指す。報道によると、米政府は5G網をめぐる競争について「ゼロサムゲーム」、つまり勝者は一人しかなく、敗者が淘汰される戦いだと確信しているという。次世代通信規格5Gへの技術移行は、進化ではなく革命と例えられている。複数の専門家は、電気が社会にもたらした影響を上回ると語った。

 

(1)「NYTのインタビューに応えた米政府高官は、現代で核兵器を除く、最も致命的な武器となるのは電子ネットワークの制御であると述べた。さらに、この点について米国も中国の上層部も確信しており、5Gの主導権を握る国は経済、情報、軍事において他を圧すると認識している。同紙によれば、米政府は重要な通信ネットワークに中国製品の使用を禁止する行政命令を起草しているという」

 

ファーウェイは、世界100の有名大学に研究費を補助するほか、研究用の器具やソフトを無料提供して、研究成果を還流させる方法を取ってきた。だが、最近のファーウェイの不祥事(スパイ発覚)により、にわかにファーウェイへの警戒心が高まっている。英国のオックスフォード大学は、研究費受領を辞退する方針を発表した。また、米国でも有名大学が同じ動きを見せている。

 

米国が、ファーウェイを警戒するのは中国諜報機関と密接な関係を持っているという疑惑である。今回、ポーランドで逮捕されたファーウェイ幹部は、中国領事館員を兼業していたと疑われている。このほか、ファーウェイ製品が、中国政府の補助金で割安販売を行なっている疑いだ。中国製スマホが、急激にシェアを上げている裏には、中国政府が生産費の補助金を支給していると疑われている。中国は、あらゆる製品に補助金を出している。スマホや5Gが補助金対象から外れているはずがない。

 

(2)「現在、日本を含め通信強化を図る多くの国が5Gインフラ建設の入札を準備している。国家の基幹インフラに影響を及ぼす巨大な契約だ。米国は、向こう6カ月が重要だと分析し、同盟国に『包囲網』を狭めるよう協力を呼び掛ける1月中旬、英ジェレミー・ハント外相は訪米し、5G通信網に関する安全保障政策において歩調を合わせるようトランプ政権に求められた。フィナンシャル・タイムズによると外相の帰国後、英通信大手ボーダフォンは欧州の5G網でファーウェイ機器を採用しないと発表した。さらに、米代表団は1月中にドイツを訪れ、北大西洋条約機構(NATO)は安価の中国製品を採用すれば安全に大きな代償を支払うことになると警告したという。ドイツ経済紙は17日、同国政府は5Gインフラ建設にあたり、ファーウェイの参入を排除する方針があると報じた」

 

米国は、第二次世界大戦中から「ファイブ・アイズ」(米・英・豪・カナダ・ニュージーランド)で、諜報関連情報の交換を行なってきた。これを基盤に、「5G」戦略でも結束しており、さらに日本・ドイツ・フランスなどに結束を呼びかけている。同時並行的に、中国のスパイ行動が摘発されており、ファーウェイ製品への危険性が認識されつつある。

 

(3)「ポーランド当局は11日、中国電子技術大手で人民解放軍と密接なかかわりを持つ企業ファーウェイの上級幹部・王偉晶と同国の元情報当局者をスパイ容疑で逮捕したと発表した。複数の米国政府高官は匿名でNYTに対して、ポーランドの出来事は中国共産党政権がファーウェイを利用して他国でスパイ活動を展開する典型的な事例だと語った」。

 

ポーランドで、中国領事館員兼業と疑われているファーウェイ幹部が、スパイ容疑で逮捕された。これは、きわめて象徴的な事件だ。つまり、ファーウェイ=中国外務省=スパイという確固たる背景が浮き彫りになっているからだ。

 

今後のファーウェイの「運命」はどうなるか。

 

『ロイター』(1月18日付)は、「中国ファーウェイ、打ち砕かれる5G世界制覇の夢」と題する記事を掲載した。

 

最終的に、ファーウェイの運命は米国次第だろう。中国通信機器の使用を禁止するよう他国に圧力をかけることと同様に、米議員が提案したように米テクノロジー企業に対しファーウェイ向けの販売を制限することは、同社の事業を損なうことになるだろう。孟CFOの米国引き渡しが現実となれば、同社に決定的打撃を与えるかもしれない。また、中国政府の反応は、良くも悪くも米中関係を一変しかねない「ワイルドカード」となるだろう。政府も企業も、そして消費者も、5Gがもたらす副産物に備えるべきだ」。

 

米国が、ファーウェイ排除の目的で、部品やソフトなどの輸出を禁止すれば、ファーウェイの世界覇権は不可能になる。ファーウェイは、米国の半導体に依存せずとも高度の製品を開発すると言い始めた。これから開発するという話であり、当座の需要を満たせる訳でない。技術的なファーウェイの劣勢は覆いがたいのだ。