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不動産バブルによる金融システム障害は、民営企業の経営を一段と悪化させている。典型的なバブル崩壊後の現象だ。財新/マークイットが1日発表した1月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.3(昨年12月は49.7)と、節目の50を2カ月連続で下回り、約3年ぶりの低水準となった

 

中国では、PMIは二種類発表されている。国家統計局の調査と、この財新/マークイットによるものだ。前者の調査対象は、大企業のウエイトが高い。後者は、企業規模がやや小さく民営企業のウエイトが高い。財新/マークイットの調査結果が、中国経済の実態をよりリアルに表わしている。

 

『ロイター』(2月1日付)は、「中国製造業PMI、1月は財新も2カ月連続で50割れ、予想下回る」と題する記事を掲載した。

 

(1)「国家統計局が前日に発表した1月の製造業PMIも、50を2カ月連続で下回っていた。今回の指数と合わせると、年初の同国経済の成長は予想通り引き続き勢いを失っており、政府による一連の民間セクター支援策にもかかわらず中小企業が最も強い圧力にさらされていることが示された」

 

中国国家統計局による1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5。昨年12月の49.4より若干の改善の改善であった。だが、財新/マークイットの調査結果は、48.3(昨年12月は49.7)と国家統計局調査よりも厳しい実態が浮き彫りになっている。現在の景気減速では、民営企業により強くその影響が出ていることを表わしている。金融的な条件が、それだけ劣っていることでもある。

 

中国は、すでに信用収縮という最悪事態にはまり込んでいる。金融機関は、貸付けても確実な返済が見込めない顧客への融資を渋っている。金融機関が、不良債権を抱える事態になれば、自らの資本へ毀損を招き体力を疲弊し「共倒れ」になるからだ。

 

(2)「今後の動向を示唆する新規受注も2カ月連続で節目を下回り、47.3となった。2015年9月以来の低水準。3年ぶりの大幅な値引きも奏功せず、市場の需要が弱いことが鮮明になった。需要の低迷が打撃となり、生産指数は2年7カ月ぶりに50を割り込んだ。雇用は5年3カ月連続で縮小、購買活動は1年8カ月ぶりに縮小した。 CEBMグループのマクロ経済分析ディレクター、Zhengsheng Zho ng氏は、『全体として、カウンターシクリカル(反景気循環的)な経済政策は著しい効果をもたらしていない』との見方を示した」

 

このパラグラフの内容は、身につまされるような厳しい内容である。

    新規受注も2カ月連続で節目を下回り47.3。2015年9月以来の低水準

    生産指数は2年7カ月ぶりに50を割り込む

    雇用は5年3カ月連続で縮小

    購買活動は1年8カ月ぶりに縮小

 

先行きを示す新規受注が47.3と50をかなり割込み、PMI全体の48.3を下回っている。いかに受注減になっているかを示している。

 

雇用が5年3ヶ月連続で縮小しているのも驚きである。高い賃金で採算が合わず、ロボット導入をしているのであろう。

 

購買活動が1年8ヶ月ぶりの縮小とは、「仕入れ」規模を縮小したこと。これは、他企業へスパイラル的に影響し経済活動が自動的にダウンする意味だ。手元在庫の整理であるから、この事態になると景気は急激な落込みになる危険性を帯びている。幅広い在庫調整が始ったもので、警戒すべき段階だ。