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中国での日本商品の人気は抜群だ。「メード・イン・ジャパン」が、憧れの商品になっている。品質の良さが、高い評価を得ている理由である。これまで、中国へ進出した日本企業が、相次いで国内の工場建設に踏み切り、「日本産」であることを売りにしている。

 

『レコードチャイナ』(2月2日付)は、「最も多く購入は日本の商品、中国人の越境ECサイト利用」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国最大手の検索サイトを運営する百度公司の日本法人、バイドゥ株式会社は、中国人2000人を対象に行った越境ECサイトの利用実態調査の結果を発表した。『どこの国の商品を購入することがありますか』の問いに対しては、『日本』を挙げた人が58.0%で最も多かったという。日本以外の国では、韓国(52.5%)、米国(48.4%)が多く、それに続くオーストラリアやドイツ、フランスはいずれも20%台だった」

越境ECサイトの利用実態調査では、58%が日本商品を選び1位に上げられている。人気の秘密については、「品質が安全」である。その証は、「メード・イン・ジャパン」にある。同じ日本製品でも、「中国産」では不人気だという。中国人が製造に関わったのでは信用がおけない、という理由である。

 

ここで、日本企業は日本国内での製造に切り替えている。「何十年ぶり」という国内工場の建設に踏み切っているのだ。この点は、後で取り上げる。


(2)「『日本商品を購入する』と回答した人の割合を地域や性別で分類すると、北京・天津在住の女性が72.7%、上海・浙江・江蘇在住の女性が68.7%と特に高かった。一方、広東在住の男性は51.6%、重慶・四川在住の男性は48.2%と低かった。バイドゥは、サイトの言語表示と購入や閲覧行動の関係も調べた。なお、回答者2000人のうち、219人は越境ECサイトの非利用者だが、「仮に使う場合を想像して」との前提で回答してもらった」

 

日本商品への人気が高いのは、北京・天津在住の女性が72.7%、上海・浙江・江蘇在住の女性が68.7%と特に高かった。いずれも沿海部の人たちで、日本旅行経験者であろう。その背景には、高賃金という共通事情がある。今年1月現在の最低賃金(月給)は次の通りだ。

 

北京市 2120元(約3万3920円)

天津市 2050元(約3万2800円)

上海市 2420元(約3万8720円)

浙江省 2010元(約3万2160円)

江蘇省 2020元(約3万2320円)

 

いずれも、中国では最高の賃金を得ている地域である。日本との距離が、比較的短いということも「日本製品」ファンにさせていることもあろう。

 

日本企業は、国内での増産体制に入っている。中国需要増加であるから、中国で生産すれば生産や輸送のコスト切下げになると考えがちである。だが、中国消費者は、日本で生産することに価値を付けている。そこで工場増設が始っているもの。

 

『日本経済新聞 電子版』(2月4日付)は、「資生堂、九州に化粧品工場、『日本製』輸出へ400億円」と題する記事を掲載した。

 

(3)「資生堂は福岡県久留米市に新工場を建設する。2021年をメドに稼働し主力のスキンケア製品を生産する。投資額は400億~500億円を見込む。資生堂は現在、大阪府と栃木県でも新工場を建設中で、世界の生産能力は現状比でほぼ倍増する見通し。訪日観光客の増加で『メード・イン・ジャパン』の商品の人気が高まっている。アジアへの輸出や国内需要を満たすため、生産を国内に回帰させる動きが本格化する」

 

資生堂は、「メード・イン・ジャパン」 人気に乗って、一挙に国内で3工場を建設するという「特需」に潤っている。もともと、日本の化粧品は、アジア人特有の肌を研究し尽くした製品づくりであると評価されてきた。米国化粧品が、日本で定着できなかったのは、「肌の研究」で出遅れた結果である。中国では、資生堂製品の「ニセ物」が、ホンモノの資生堂製品に混じって売られている。こういう実態からいえば、「日本産」に人気が向くのは当然であろう。

(4)「日本の化粧品メーカーではコーセーなども国内増産投資を加速している。18年の日本製化粧品(ヘアケア含む)の輸出額は前年比4割増の約5260億円となり、6年連続で過去最高を更新した。9割は中国を中心とする東アジアだ。日本の日用品大手の間では生産の国内回帰の動きが相次いでいる。ユニ・チャームは19年に福岡県で26年ぶりとなる国内新工場を稼働。中国などで人気の高い高級紙おむつなどを生産する。ライオンも21年に国内52年ぶりとなる歯磨き粉の工場を香川県で稼働する予定だ」

 

日本国内で消費財生産の新工場建設は、「何十年ぶり」と降って湧いたような話である。これから、訪日客4000万人目標を達成した後、6000万人目標が打ち上げられている。目先は、来年の東京オリンピックである。「メード・イン・ジャパン」の人気上昇とともに、海外での消費財需要もうなぎ登りとなろう。