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一国の大統領が、ボランティアで弁当配達している姿を写真で見たのは初めてだ。韓国の文大統領がそれをやってのけた。これは、政治家としての任務をはき違えた行動と思われる。文大統領の政策が、効果を上げ得なかったことを再検討し、新たな政策を打ち出す。この方が、はるかに国民に優しい政治であろう。

 

貧困家庭が、なぜそういう経済状態に追い込まれたのか。その原因を究明すべきである。文氏には責任がある。去年と今年の大幅な最低賃金の引上げによって解雇された家庭かも知れないのだ。もしそうであれば、文氏は「二重人格者」のレッテルを貼られることになろう。最低賃金の大幅引上げを行い、労働貴族のご機嫌取りをした罪滅ぼしに、今度は貧困家庭へ「弁当配り」では喜劇である。

 

『中央日報』(2月6日付)は、「韓国野党、自由韓国党の前代表、文大統領の弁当配達に庶民コスプレ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「党代表選挙に出馬した韓国野党『自由韓国党』前代表の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がソル(旧正月)を迎えて経済的な支援が必要な家庭に弁当を直接配達したことに対して『庶民コスプレ』と非難した。洪氏はこの日、自身のフェイスブックに投稿した文で『破綻した民生を世話する考えはなく、弁当の配達で庶民コスプレする様子はイメージ政治の終局』と指摘した」

 

文氏には、儒教朱子学の「道徳主義」が色濃く残っている。自らを道徳主義者と位置づけ、他人を攻撃するタイプである。独善主義であり、絶対に妥協しないのだ。最低賃金の大幅引上げこそ、貧困家庭を救うと信じている。その経済的な破綻によって、貧困家庭がさらなる貧困状態に落込んでいる。そういう現状を理解しようとしないから、平気でボランティアで弁当配りができるのだろう。

 

(2)「洪氏は、『イメージ政治の惨劇を身震いするほど経験した方々が再びイメージ政治に誘惑されているのは実に遺憾に思うべきこと』としながら『そろそろ党内にもイメージ政治は捨てるべきだ』と主張した。あわせて『コンテンツ政治に戻れ』とし、『何が国家と党と国民と党員のための道なのか熟考しなければならない時』と強調した」

 

このパラグラフで主張されていることは、すべて正しいと思う。文大統領がやるべきことは、民情の正しい把握とそれに基づく実行である。1月に入って大統領府は、経済界の苦悩を聞く機会を持ち始めた。そのこと自体はいいことだが、最低賃金の大幅引上げについての苦情が殺到しても聞くだけ。答えは、「現状変更は困難」という一言だ。最賃引き上げ幅の縮小が不可能であれば、経済界の意見を聞いても無駄である。要するに、民情を聞くポーズだけである。行動を起こさないのだ。文大統領の弁当配りと同じ「政治ショー」である。文氏の道徳主義を実感する場面だ。