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中国外交は、2200年前の秦の始皇帝以来、何ら変化していない。始皇帝は、「合従連衡」によって敵方陣営の結束を乱して、秦と一対一の関係に持ち込み滅ぼす戦略を多用した。また、「孫子の兵法」で奇策を用いて、敵方陣営を撃破する戦術を用いた。これに付け加えれば現在、カナダに対して行なっている「人質外交」も使っていたであろう。

 

中国の戦法に、新しいものは一つもないのが特色である。それは、保守的な民族で新しいことを試みる点で臆病なのだ。未だに、民主主義を怖くて取り入れられない理由はその証拠だ。日本から見れば、はるかに硬直化した国家である。それだけ、発展性が乏しいことになる。

 

中国は、カナダに対して滅法、高姿勢である。ファーウェイ副会長がカナダで逮捕され目下、保釈中の身であるから、圧力を掛けて釈放させる狙いだ。その圧力が、「カナダ人二人の拘束」である。中国が人質に取れば、カナダは音を上げてファーウェイ副会長を釈放するだろうという狙いである。

 


『ブルームバーグ』(2月9日付)は、「中国の人質外交許す、未来暗くする悲しい戦術」と題するコラムを掲載した。

 

(1)「カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏が、すでに2カ月近く中国で不当に拘束されている。この事実は、強権的な独裁勢力の台頭がまさに深刻な影響を人々に与えることを思い起こさせる。また、習近平国家主席が、中国と世界のつながりや理解を深めようと懸命に取り組んできた外国人を遠ざけつつあるリスクの証左でもある」

 

日本でも、「人質外交」は江戸時代」の話だ。中国が、今でもこの時代遅れの威嚇方法を取っていることに呆れる。中国は、胸を張っているかも知れないが、先進国は軽蔑して見ているのだ。この時代認識のギャップが、中国に世界覇権を狙うなどという非生産的な「戯言」を言わせているにちがいない。

 

(2)「カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏は中国語に堪能で、外交官として香港や北京に赴任した。2016年以降は非政府組織(NGO)の国際危機グループ(ICG)で中国を担当し、同国の米朝外交における役割や南スーダン内戦への関与、軍のグローバル展開といった幅広い問題を扱っていた。昨年12の拘束理由は、コブリグ氏がNGO関連法に抵触したというのが中国側の言い分だが、実際は政府による地政学的脅しにしか見えない。対イラン制裁違反だと主張する米国の要請を受けた華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)のカナダでの逮捕後の拘束というタイミングと、中国共産党を代弁する環球時報など新聞の論調が、カナダ政府に対する報復だと明確にしている」

 

カナダの元外交官拘束は、中国の見せしめである。見せしめは、北朝鮮の専売特許と思っていたが、中国も得意技なのだろう。この中朝両国は、同じ穴の狢(むじな)である。共通の背景には、専制主義がある。

 

(3)「コブリグ氏拘束は、独裁政権が非人道的に振る舞うのは常という点をあらためて示すものだが、中国の力が増すにつれ、同国政府の手の届く場所にいる外国人は当局から不評を買えばリスクにさらされることがはっきり警告された。一方、コブリグ氏のような外国人を拘束する中国は自らの首も絞めている。国外との最も重要なつながりを弱める恐れがあるためだ。ここ数年、中国はこうした人材を遠ざける驚くべき才能を発揮している。フーバー研究所は昨年遅く公表したリポートで、中国の台頭を抑えようとする海外の民主政治に対する操作を図る戦略の一環として、米政治に影響を与えようと試みる中国の取り組みを詳細に描いた。「個人と団体に圧力を与えるため威圧的もしくは腐敗を招く手法を活用し、それにより米市民・政治生活の機能に干渉」するのが中国の作戦だとリポートは論じた」

 

今回の中国による「人質外交」は、明らかに中国の前近代性を暴露した。それだけ、国際的な普遍価値と次元の異なる存在であることを証明した。こういう国家が、世界の覇権を狙っているかと思えば、空恐ろしさを覚える。何としても、こういう野望を阻止しなければならない気持ちにさせられるのだ。まさに、中国にとっては、自縄自縛の振る舞いである。

 

(4)「コブリグ氏拘束は、中国にとって逆効果だ。カナダは中国では「法の恣意(しい)的執行リスクがあるため、警戒を高める」よう今年1月半ばに国民に呼び掛け、米国務省も同様の警告を出した。経済界首脳の間には中国出張への懸念が広がる。何より米中で影響力のある外交政策担当者による長年の協議の妨げにもなっている。ワシントンにある多くのシンクタンクの仲間からは職場で中国出張が制限されていると聞く。何年も定期的に中国を訪れてきた人々が、今は中国を訪れたくないと言うが、それも納得がいく」

 

中国の人質外交は、海外の友人を遠ざけるという逆効果を招いている。少なくとも、先進国のパートナーとして受入れがたい行為である。日本で「日中友好」を叫んでいる人たちは、どんな思いで見ているのだろうか。あなた方がいくら「日中友好」を叫んでも、中国自身がこういう蛮行を続ける限り、「賽の河原」である。