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米中通商協議は、米国が一方的に中国を押しまくる展開である。すでに3月2日から関税第3弾2000億ドルを25%にする国内手続きを完了し、官報で告示した。あとは、「ゴー」のサインを出せば済むばかりになっている。

 

トランプ米大統領は7日、ホワイトハウスで、中国との通商協議の期限である3月1日までに習近平国家主席と会談する計画はないことを確認した。期限前に会談を行うかとの質問に対し、トランプ大統領は「行わない」と答えたもの。トランプ大統領はこれまで、包括的な通商合意を目指し習国家主席と近く会談する考えを示していた。関係筋によると、トランプ大統領の側近は、争点である知的財産権の問題で両国の間に依然隔たりがある現段階で会談に応じれば、早期の合意に対する根拠のない期待が高まる恐れがあることに懸念を示したという。この関係筋は「合意に達しなかった場合の市場の下振れリスクについて特に懸念が示された」と語った。以上は、『ロイター』(2月7日付)が、伝えた。

 

ここで、中国がなぜ誤算をしたのか。中国タカ派の「米国に勝てる」と見ていた、その根拠を明らかにしたい。

 


在日中国人エコノミストの関志雄氏は、「なぜ米国が中国に貿易戦争を仕掛けたか」(2018年10月19日 独立行政法人 経済産業研究所)で、中国タカ派の根拠を説明している。

 

中国では、米国が仕掛けた貿易戦争に対して中国はどう対応すべきかを巡って、「タカ派」と「ハト派」の間で見解が分かれている。タカ派は、中国、中でも中国経済の実力を高く評価し、貿易戦争において米国に勝てると確信している。中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長の主張が典型的である(「政治委員金燦栄:貿易戦争における中国の五つの優位性、トランプが誤算の可能性」『環球網』、201877日)。


(1)「金氏によると、中国は、米国に対して、次の面において優位性を持っている。まず、中国には、中国共産党の高い指導力と民衆の強い愛国主義精神及び高い社会組織力がある。また、中国は米国よりも、ほとんどの製品を自力で生産できるフルセット型の産業構造を持っている。さらに、中国は国土面積(960万平方キロ)や人口(約14億人)だけでなく、GDP規模(購買力平価ベースでは2014年に米国を超え、2017年には米国の120%)からみても巨大な国である。そして、安全保障においても、経済発展においても、中国はしっかりとした戦略を持っており、他国の意図を伺う必要はない」


 

中国が、米国に対する有利な点を整理しておきたい。

    中国共産党の高い指導力と民衆の強い愛国主義精神及び高い社会組織力がある。

    中国は、ほとんどの製品を自力で生産できるフルセット型の産業構造を持っている。

    中国は、安全保障や経済発展において、しっかりとした戦略を持っている。

 

以下に私のコメントを付す。

    中国が専制国家ゆえに命令一下で動員できると指摘している。民主主義国の米国も、安保戦略では一致した行動が可能である。

    中国のフルセット型産業構造は、外資系が占めており部品は海外から輸入されるので過剰評価している。現在、外資系企業は「脱中国」の動きを見せている。

    米国も、安保戦略で危機感を持ったので一挙に立ち上がっている。

 

結局、中国は米国を軽視していたことが分る。

 

(2)「貿易戦争の勝利に向けて、中国は次の戦略を使うことができると、もう一人のタカ派である商務部国際経済合作研究院の梅新育研究員が次のように主張している。まず、報復措置を実施する際に、ポイントを絞って攻撃するという原則を守るべきである。この貿易戦争は中国と米国人民との戦争ではなく、トランプ大統領やその保護主義支持者への自衛的反撃戦である。トランプ大統領が最も大事にしているのは選挙のことなので、2016年の選挙で勝利した州と、今年の中間選挙でトランプ大統領を支持していると思われる州の主力産業を狙って攻撃すべきである」


    報復措置を実施する際に、ポイントを絞って攻撃する

    トランプ大統領やその保護主義支持者への自衛的反撃戦である。トランプ大統領が最も大事にしているのは選挙区に大きな影響を与える戦略を選ぶ。

 

中国は、米国農村部の大豆産地を狙い関税を引き上げた。この効果は出ているが、農家はトランプ支持を止めずに応援している。

 

(3)「中国はWTOの生かし方について、その紛争解決制度に頼るのではなく、米国をWTOから追い出す方法を探るべきである。最後に、中国の反撃は、経済分野だけではなく、政治分野でも行うべきだ。これは、朝鮮半島の核問題の解決をはじめ、国際政治の分野において、米国が中国の支援や協力を必要としているからである、という。タカ派は、対中貿易戦争において、米国にとっての不利な要因として、EU諸国と日本が連携してトランプ大統領の貿易政策に抵抗する、米国の消費者、農場主たち、産業界がトランプ大統領の対中貿易政策を阻止する、米国の有権者の不満が高まって、中間選挙に影響を与え、トランプ大統領に手を引かせる、というトランプ政権の対中強硬政策の軟化につながることを挙げている」

 

 

    米国をWTOから追い出す方法を探る

    米国が中国の支援や協力を必要としている場面を利用する(北朝鮮問題)

    EU諸国と日本が連携して、トランプ大統領の貿易政策に抵抗する

 

この3つの対策も陳腐である。戦時中の日本が国土防衛で「竹槍」を持出すような話である。ここでは、米中のそれぞれの相手国への輸出規模の議論が抜けており、中国ではマクロ的な検討は全くされていなかった。要するに、「ザル頭」のタカ派である。今や、中国の敗戦が確定的になって見ると、中国のタカ派はきわめて幼稚なことを言っていたことになる。負けるはずだ。