あじさいのたまご
   

けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

革新政権の限界を露呈

議員内閣制が韓国救う

素人が大統領府秘書官

現行大統領制で衰退へ

 

韓国革新派には、実務面で能力不足が感じられます。理念先行で処理能力が足りないのです。実務能力は、日々の業務をこなす中から自然に生まれるもの。そういう経験を積んだ人材が見当たらないようです。文在寅政権は、実情把握能力がきわめて低く、理念だけが上滑りしているのが実態です。その典型例が、最低賃金の大幅引上げです。


最賃大幅引上は理想ですが、現実の支払い能力とバランスが取れなければ弊害を伴います。現実の弊害は、理想が先行して現実を無視したギャップから起りました。単なる失政では片付けられません。この政策によって、職場を失った多くの犠牲者が出ているからです。

 

保守党政権が最賃引上を行なう場合、支払い側の能力も十分に勘案するでしょう。今回のような現状無視の事態に、ならなかったと見られます。こういう仮定問題を出しますと、私は保守賛成・革新反対と見られがちです。そうではありません。

 

英国労働党が、政権の座にあったときの政策執行能力を見ますと、保守党政権と差はありませんでした。それは、英国労働党が階級政党から脱して、国民政党に成長していたからです。米国の民主党も革新派ですが、保守派の共和党と遜色ありません。

 

革新政権の限界を露呈

韓国の革新派は、未だに労働組合や市民運動家の利益を代弁する階級政党に止まっています。その弊害が独善的な政策を生み出し、非現実的な施策に、惜しげもなく財政資金を投じています。昨年、文政権は5兆円余の財政支出で、アルバイトなどの長期雇用を行いました。これで統計上の「就業者」増加を下支えしたのです。こういう「合理的な経済計算」のできない政権は破滅型です。このまま後3年、文政権が続く間に、韓国の潜在的な経済力は大きく毀損を受けると見られます。

 

韓国が、経済常識では考えられない政策をなぜ行なっているのか。そういう疑問が湧きます。韓国の経済官庁の官僚は、それほど経済常識ゼロの集団かと疑念を持たれても仕方ありません。この裏には、専門官庁の進言を一切無視できる巨大権限が、大統領府に与えられているのです。これは、韓国憲法がそういう規定をしているのです。

 

この巨大な大統領の権限縮小案は、議論の俎上に上がるだけで実施は見送られて来ました。現職大統領にとって、これほど好都合なことがないからです。皇帝並みの権限を与えられれば、1期5年で再選なしの大統領職を「満喫」したい気持ちになるのでしょう。この大統領府には、大量の大統領任命秘書官が入ります。議会承認の必要のない秘書官が多いのです。

 

文政権の場合、大統領府秘書官の6割が「86世代」の学生運動家上がりとされています。「86世代」とは、1960年代生まれで1980年代に大学生活を送り、政治闘争で

火焔瓶を投げていた「元闘士」とされています。文大統領の年齢は「86世代」より上ですが、この火焔瓶闘争の経験者です。

 

1980年5月15日、ソウル大・高麗(コリョ)大など約30校の大学総学生会が主導した10万人規模のデモ隊がソウル駅前に集結しました。軍部独裁に対抗して民主化を要求したのです。このデモ隊で警察に連行された学生には、文政権を支える主要メンバーが次のように入っています。資料は、『中央日報』(2月4日付)によります。

慶煕(キョンヒ)大復学生の文在寅(ムン・ジェイン、大統領)

ソウル大復学生代表の李海チャン(イ・ヘチャン、共に民主党代表)

ソウル大復学生の金富謙(キム・ブギョム、行政安全部長官)

ソウル大代議員会議長の柳時敏〔ユ・シミン、盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長〕

高麗(コリョ)大総学生会長の申溪輪(シン・ゲリュン、元民主党議員)

 

文政権が、これら「86世代」を軸にして、昔の学生運動家上がりが、「サークル仲間」意識で国政を動かしていることは想像に難くありません。政策への発想法が、学生時代特有の空想的なものから脱却できず、さらに先鋭化したと言えます。現実無視の最低賃金の大幅引上げは、その最たるものでしょう。反日政策もその一環です。当時主流の北朝鮮「チュチェ思想」に大いに感化され、「親中朝・反日米」に共鳴し現在に至っているのです。(つづく)