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日本は、中国ファーウェイの「5G」導入を拒否したが、同じ拒否組の英国に冷たい態度だ。日本に対しては、ファーウェイの「ファ」の字も言わないのに、英国へ侮辱的な言動を取っている。中国は、日本に対して利用価値があると踏んでいるからだろう。

 

こういう点が、中国の成り上がり者的国家としての未熟さだ。韓国も同じである。日韓のGDP規模が接近したからと言って、過去には絶対言わなかったことを口に出す。儒教文化圏の即物性を見せつけられているようで不快に感じる。

 

『日本経済新聞 電子版』(2月12日付)は、「中国の地方政府首脳による訪日急増、日本企業の誘致活発化」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の地方政府が日本企業の誘致活動を活発化している。地方政府首脳が日本を訪問する件数は2018年下期に、同上期に比べ2倍超に増加した。日中関係の改善を受けた動きだが、目先の景気の下支えとなる投資を呼び込みたい思惑も透ける。『省長が2度も足を運ぶのは前例がない』。三菱UFJ銀行の幹部は話す。四川省の尹力省長は18年、2度にわたり日本を訪れた。20年に開港する新空港の周辺に『日中産業園区』の建設計画があると強調、日本からの投資に期待を寄せた。湖北省の王暁東省長、江蘇省昆山市の杜小剛・市党委書記も日本でセミナーを開いている。三菱UFJ銀が関与した地方政府の日本訪問件数は18年後半に16件にのぼり、同年前半の7件から急増した」

 

中国は、「一帯一路」でも日本を引入れようと必死だ。落ち目になると必ず、日本を頼ってくる。韓国と同じである。困った時の日本頼みだ。それにつけても、中国外相の王毅氏の傲慢な態度は忘れられない。外交官でなく恫喝屋のイメージである。彼自身、日本で嫌われていることを自覚しているのか、最近は表面に現れなくなった。国家も個人も同じである。陰日向なく交流できることが、信頼をつなぎ止める要因である。

 

中国地方政府が、日本企業の誘致で日本へ熱いラブコールを送っている。高度技術を持ち込んでは窃取される危険性が高い。ここで一つ、頭に入れておくべきことがある。中国は市場としての魅力が、時間の経過とともに低下する点だ。出生率低下という人口動態から見て、急速に「老人国家」に転落する。「豊かになる前に高齢化社会」という悲劇に陥る。これは、文字通りの悲劇になる。日本企業は、内乱・騒乱の類いに巻き込まれないことが必要になろう。

 

(2)「中国のGDP伸び率は18年に6.6%28年ぶりの低水準になった。地方政府には、日本企業による投資で景気減速を補いたいとの思惑がある。『幹部の人事考課に、日本を含む外資誘致が含まれている』との声もあった。中国事業を拡大したい日本企業にとって、日中関係が改善傾向にあり、地方政府が日本からの誘致を競うことは追い風となる。もっとも米中貿易戦争の行方など不安材料も多く、どれだけの企業が「ラブコール」に応えるかは見通せない」

 

潜在的な社会不安を抱える中国は、果たして安定した投資先であろうか。中国地方政府トップが、ここまで慌てふためいて「日本へ日参」し始めたことは、背に腹を換えられという切羽詰まった事情があるからだ。そうでなければ、ここまで掌を返すような振る舞いをするとは思えない。国内に緊急事態が発生しているのであろう。重量型の投資は危険である。

 

『レコードチャイナ』(2月6日付)は、「ファーウェイ排除したが、英国はなぜ中国の助けを必要としているのか」と題する記事を掲載した。

 

(3)「中国メディア『中油網』(2月4日付)は、米国に追従してファーウェイの5G設備参入禁止の意向を示している英国が、一方で中国に助けを求めるしぐさを見せていると報じた。記事は、5日の春節に合わせて英国の首相官邸のドアに『丹鳳呈祥龍献瑞、紅桃賀歳杏迎春』という対聯が張り付けられたとし、英国史上初めて首相官邸に中国の対聯がお目見えしたと伝えた。また、対聯のみならずメイ首相が『英国は在英華人の家である。英中両国関係が引き続き向上する中、全世界の各地で中国の新年を祝う人々に、もっとも美しい祝意を示します』との談話を発表したことを紹介している」

中国は、英国が中国にお世辞を言っていると怒っている。大人げない態度だ。そう言えば、日中関係が厳しい時代、安倍首相が祝辞を送ってもメディアに紹介もしない「お天気屋」国家だ。その日本に、今度は中国がお世辞を言い揉み手をして現れている。英国を貶(けな)して、日本にお世辞を言う。なんとも言えない中国の「二重性」を感じる。

 

(4)「記事は、『英国が突然、中国に愛想を振りまいたのは、中国が世界第2の経済大国であることを重要視したからである可能性がとても高い。ブルームバーグによると、予定どおり英国の欧州連合(EU)離脱が実現すれば英国の経済成長は17%へ低下するが、離脱が先延ばしになれば経済成長がさらに鈍化する可能性があるという』とした」

 

中国は、自国経済がふらついている現実を自覚していないようだ。GDPの300%に及ぶ債務を抱えた中国が、英国を下に見る言い方は尊大そのもの。国の品格が分る話だ。