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2016年以降、中国に集まった外資系ハゲタカファンドが苦戦している。買い取った不良債券の値下がりと、資金繰りの悪化が理由だ。これは、中国の不況が、従来の想定範囲を超えて深刻化している動かしがたい事実を証明している。楽観論は、危険であることを改めて突付けている。

 

ハゲタカファンドは、不良債権を安く買い叩き、高値で転売して利益を上げる「企業再建屋」である。このプロ集団が、目測を誤って自らが不良債権になりかねないという事態だ。ミイラ取りがミイラになるような話である。中国の景気後退を甘く見ていると、大変な目に遭うという実例がここに現れて来た。

 

リーマン・ショック(2008年)直後の「4兆元投資」を起点とする投資ブーム開始から10年となり、この間の固定資産投資額の合計は446兆元(約7200兆円)にのぼるとされている。これは、天文学的な金額である。この20%が不良債券化すれば、最終的に1440兆円にもなる。ハゲタカファンドは当初、ここまで不良債権が溜まっているとは想像もしていなかったはずだ。「開けてびくり」というのが実情であろう。

 


『ロイター』(2月14日付)は、「中国ハゲタカファンド業界、流動性ひっ迫で苦境に」と題する記事を掲載した。

 

(1)「不良債権を安値で買って転売して利ざやを稼ぐいわゆる『ハゲタカファンド』は、金融リスク解消に一役買うだろうと中国政府から期待されていた。だが今や、このファンド自体が資金繰りに窮して信用力を低下させる事態に陥ってしまった。ハゲタカファンドの苦境は、中国の銀行が迅速に不良債権を処理して新規融資の余力を生み出すのを阻むばかりか、多くの個人投資家が不良債権ファンドに出資しているだけに、金融システムにおけるリスクを高めて社会不安を巻き起こしかねない。PwCのパートナーで中国と香港の債務再編・破綻処理チームを率いるテッド・オズボーン氏は、『これまでなら国内の不良債権投資家は新規購入に向けて多額の借り入れが可能だったが、現在ではまったく資金を借りられない』と話す

 

金融機関は、極端に貸出を絞っている状況がよく分かる。債務再編・破綻処理チームすら、資金を借入れできないのは、極端な信用不安が起こっている結果だ。

 

(2)「不良債権価格の下落は、近年この分野に進出した上場企業のバランスシートを直撃している面もある。資産管理会社(AMC)と呼ばれる国有の不良債権処理機関でさえ、逆風にさらされている。中国華容資産管理公司は昨年上期に不良債権投資で得た税引き利益が61%も減った。ライバルの中国信達資産管理公司も昨年全体の利益が3割減少したと見込んでいる。減益となれば13年の上場以来初めてだ。PwCによると、中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権(不良債権やディストレス資産など)は1兆4000億ドル(約154兆円)前後。景気の減速や規制当局が金融機関のバランスシート調整を急き立てていることから、問題債権はさらに増える見通しだ。オスボーン氏は『中国の不良債権サイクルは始まったばかりであり、まだ多くの年数続くと思う』と述べた」

 

国有の不良債権処理機関と呼ばれる資産管理会社(AMC)は、昨年上期に得た税引き利益が61~30%もの減益になった。債券価格の下落である。底値と見て買い取った債権がさらに値下がりを続けている結果だ。中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権(不良債権やディストレス資産など)は約154兆円前後だが、不良債権処理のサイクルは始ったばかりである。処理を終えるまで、まだ多くの年数がかかる、と指摘している。

 

冒頭に指摘したように、2009~18年までの固定資産投資額の合計は、446兆元(約7200兆円)にのぼる。この20%が不良債券化すれば、最終的に1440兆円にもなる計算だ。現在、中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権は約154兆円前後という。潜在的な不良債権に対して、まだ10%見当に過ぎない。これでは、ハゲタカファンドが買い取った不良債権が値下がりするはずだ。私は、中国の不動産バブルは「空前絶後」であり、これで中国経済は沈没せざるを得ないと読む。