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中国が、南米アルゼンチンのパタゴニア地方で、軍管轄の宇宙基地を建設する際、ある約束を交わしていた。それはビジターセンターを設けて、16階建ての高さほどある巨大アンテナを備えた基地の説明が受けられるようにと、確約していたのだ。

 

現在、同センターは完成しているが、基地の施設全体が高さ2メートル超の有刺鉄線に囲まれている。予約しなければ中に入ることはできない。当初の約束であったビジターセンターは存在しない。ここから、また中国が「悪さを企んでいるのでないか」と疑惑の目で見られている。

 

中国が、南米まで手を延ばした米国へ対抗するポーズを見せている。建設案が持ち上がった時から、秘密主義が芬芬(ふんぷん)としていた。高さ2メートル超の有刺鉄線を張り巡らすのは、民事利用でないことを自ら示している。頭隠して尻尾隠さずという、いつもの中国流の粗雑さが見え隠れしている。

 

『ロイター』(2月4日付は)、「アルゼンチンの中国軍宇宙基地、民事利用は本当か」と題する記事を掲載した。

 

(1)「謎に包まれたこの宇宙基地を巡っては、地元住民が不安に感じており、陰謀説もささやかれ、米国のトランプ政権は同基地の本当の目的について懸念を抱いていることが、数多くの住民やアルゼンチン政府の現旧職員、米当局者、天文や司法の専門家への取材から明らかとなった。公式発表によると、同基地の目的は、民事利用のための宇宙観測と探査である。この1月に中国の探査機が月の裏側に着陸した際にも、同基地は大きな役割を果たしたと同国メディアは伝えている」

 

中国は、「一帯一路」のように飛び地作戦でいずれ他の南米にも「宇宙基地」と称するものをつくって、米国を脅かす積もりであろう。中国の今後の経済力が、この野望を達成するにふさわしい成長をするかきわめて疑問である。むしろ、逆に「中国包囲網」をつくられる理由に利用されるだけだ。中国は、同盟国もなく「単騎出陣」で民主主義国と戦うリスクを大きくするだけである。私は、中国経済の基盤がきわめて脆いと見ている。日々の経済情報を積み重ねると、経済的に最も危険水域に差し掛かっているのだ。

 

(2)「敷地面積が約2平方キロのこの人里離れた宇宙基地はアルゼンチン当局の監視をほとんど受けていないことが、ロイターが入手した数百ページに及ぶ同国政府文書から分かった。アルゼンチンのマクリ現政権で外相を務めたスサナ・マルコラ氏は、同基地の活動を監視する手段がないとインタビューで語った。2016年、同氏は宇宙基地に関する中国との契約を見直し、民事利用に限るとする条項を加えた。契約上、中国は同基地の活動をアルゼンチンに知らせる義務があるが、それが軍事目的に利用されないよう当局が監視するメカニズムはないと国際法の専門家は指摘する」。

 

中国は、アルゼンチンの「無知」につけ込んでいる。「一帯一路」計画でもそれをやっているからだ。だが、不正内容は、いずれアルゼンチンの政権が変れば気付かれるものだ。「一帯一路」計画がひっくり返されたように、アルゼンチンでも起るだろう。

 

(3)「米国は以前から、中国の宇宙『軍事化』戦略を懸念してきたと、ある米当局者は語る。また、アルゼンチンの基地が探査目的であるという中国の主張を懐疑的に見る理由があるとも同当局者は付け加えた。ロイターが取材した他の複数の米当局者も同様の懸念を示した。『腐敗し、財政不安を抱えていた政府が10年前に秘密裏に合意したパタゴニアの地上局は、受け入れ国の主権をむしばむ不透明で略奪的な中国による取引の一例だ』と、米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は語った。理論的には、同基地は「他国政府の衛星通信を傍受し、機密データを入手する」ことは可能だと、米国立電波天文台(NRAO)のディレクター、トニー・ビーズリー氏は指摘。ただし、「そのような傍受はもっと簡単な機器でも可能」だという」。

 

米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は、「腐敗し、財政不安を抱えていた政府が10年前に秘密裏に合意したパタゴニアの地上局は、受け入れ国の主権をむしばむ不透明で略奪的な中国による取引の一例だ」と語ったという。マレーシアで、中国が前政権に行なったことと同じことをアルゼンチンでも行なっている。ファーウェイ(華為技術)は、世界21ヶ国で贈賄容疑により捜査されている。中国政府も同じ「札束攻勢」でアルゼンチンに宇宙基地をつくったのであろう。いつまで、アルゼンチンに居座れるか見物である。