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米中貿易協議は大きく進展している模様だ。米中双方が、合意を必要としている事情を抱えていることが要因である。とりわけ、中国経済が深刻な事態にあること。米国は、大統領選を控えて、景気を維持しなければならぬという事情がある。

 

『ロイター』(2月22日付)は、「米中、3月にも首脳会談、通商協議継続し合意期限延長へー米大統領」と題する記事を掲載した。

 

(1)「トランプ米大統領は22日、米中は貿易戦争終結に向け合意に至る公算が極めて高いとの認識を示し、合意を得るために3月1日に設定している交渉期限を延長する意向であることを明らかにした。また、中国の習近平国家主席と3月にも会談する見通しを示した。米中は21日、ワシントンで閣僚級の通商協議を再開。追加関税の発動期限を3月1日に控え、貿易戦争終結に向けた合意を目指している」

 

トランプ氏は、合意を前提に3月1日の交渉期限を延長とする意向を示した。この延長は、中国側の要請であろう。中国が、米国に譲歩を求めて優位な交渉をしたという「アリバイ」づくりと見られる。中国国内には、根強い妥結反対論もあるのでそれを意識している。

 

(2)「トランプ大統領はこの日、中国の劉鶴副首相らと協議。ホワイトハウスで記者団に対し、進展が見られているため、今回の協議を2日間延長すると表明。『ディール(取引)が成立する公算が大きいとの感触を双方が得ている』と述べた。また、習主席と間もなく会談する見通しだとし、自身と習主席との間で通商を巡る最大の決定を行うと表明。会談は3月に、米フロリダ州のリゾート施設『マー・ア・ラゴ』で行われる公算が大きいとの見方を示した。中国の劉副首相は、習主席の書簡をトランプ大統領に届けたことを明かした。習主席は書簡で交渉で大きな進展が見られたとし、両国が譲歩に向け一段と取り組むことを望んでいるとした。このほかトランプ大統領とムニューシン財務長官は、通貨に関して強固な合意をまとめたとも明らかにした」

 

米中首脳会談について、今後のスケジュールがここまで決まってきたこと。習氏の親書が届けられたこと。通貨問題(元相場安による抜け穴防止)で中国の合意を取り付けたこと、などを見れば、すでに大筋合意に達している感じだ。

 

(3)「ただ、トランプ大統領は、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が中国との合意の枠組みを覚書(MOU)の形で取りまとめていることに不満を表明。MOUは短期的なもので、より長期的なディールが望ましいと述べた。ライトハイザー代表はこれに対し、MOUには拘束力があると指摘した」

 

トランプ氏とライトハイザーの間で意見の食い違いが見られる点は、警戒すべきであろう。トランプ氏は、決着を急いでいる。ライトハイザー氏は、中国に「食い逃げ」されないように覚書(MOU)作成にこだわっている。もし、この点が無視されると、ライトハイザー氏

が土壇場で辞任するという大波乱が起り兼ねない。

 

中国は、このトランプ氏とライトハイザー氏の離間を策しているかも知れない。ライトハイザー氏の強硬姿勢に泣かされてきただけに、中国が仕掛ける最後のワナとも見られる。トランプ氏が「ディール」という甘い言葉に酔って、覚え書きという「証文」を中国から取らないと、再び、だまし討ちに遭うかも分らない。トランプ氏の真価が問われる場面だ。トランプ氏は、勝利宣言して株価を押上げることを夢見ている。あまりそれにこだわると、落し穴になろう。