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与党「共に民主党」は野党時代、保守政権のインフラ投資を「土建国家」と批判し続けた。今は、文政権も同じ道に陥っている。来年の国会議員選挙を控えて、なんとか景気対策を打たざるを得ない立場に追い込まれているのだ。

 

昨年10~12月期の所得下位20%の世帯所得が、前年同期を約18%下回り、2003年の統計開始以来で最大の減少幅を記録した。税金による公的補助金を除けば、約30%も落ち込んだことになる。「雇用政権」という看板を掲げる文政権にとっては、致命的な結果だ。最低賃金の大幅引上げが失業者をもたらす、政策意図とは真逆な結果になった。

 

政府は、政策失敗を認めて最賃政策の手直しをするどころか、自らを正当化するという、「韓国的正義論」に打って出ているから驚くのだ。金尚祖(キム・サンジョ)公正取引委員長は、「政府の努力が一部で緩衝作用となった」と言ったもの。何もせずに放置していたらさらに深刻になっていたはずだが、政府が支援してやったおかげで所得の減少幅がこの程度だったという意味である。

 

これは、政府の補助金(5兆3000億円)で、アルバイトなどの短期雇用を長期雇用に変えたことを指している。だが、無茶な大幅賃上げをしなければ、政府の補助金も必要なかったはず。文政権の「経済音痴」が招いた悲劇である。

 

政府支持の『ハンギョレ新聞』(1月29日付)は、「雇用難突破に苦肉の策、『土建国家』批判が舞い戻る懸念も」と題する記事を掲載した。

 

(1)「企画財政部は昨年10月、「革新成長と雇用創出支援策」を発表し、地域経済に波及効果の大きい公共投資プロジェクトを積極的に推進すると明らかにした。これについて、人為的な景気浮揚策である社会間接資本(SOC)投資から距離を置き続けていた文在寅政府の政策方向が旋回するシグナルだという分析が出た。4大河川事業を推進した2009年以降10年たってはじめて、文政権が地方自治体に『予備妥当性調査免除』を先に提案したためだ」

 

予備妥当性調査とは、大型SOC事業の経済性・効率性と財源調達方法を綿密に検討し、事業推進が適切かどうか判断する手続きである。こういう条件が、大型インフラ投資に義務づけられたのは、インフラ投資の濫用を防止して効率的な投資を行なう主旨である。ただし、緊急な経済・社会的理由があったり、地域バランス発展のための事業など国家政策的に必要な場合には、例外的な措置として予備妥当性調査を免除できることになっている。

 

現在、大型SOC事業の相当数は、予備妥当性調査で事前審査を受けている状況だ。文政権は、このブレーキを取り外して一気に工事に進む方針を発表したので、世間の厳しい反発を受けている。予備妥当性調査が免除されれば、建設投資が急増し、最近の景気不振や雇用低迷の克服に役立つ。これが文政権の狙いだ。余りにもご都合主義である。日本のような責任内閣制であれば、総辞職すべき段階だ。文政権は「ミソ」を付けた政権である。

 

歴代政府の予備妥当性調査免除の現状

盧武鉉政権 1兆09075億ウォン

李明博政権 60兆3109億ウォン

朴槿惠政権 23兆6161億ウォン

文在寅政権 29兆5927億ウォン

(『ハンギョレ新聞』掲載の資料)

 

文政権は、すでに朴槿惠政権を上回る予備妥当性調査免除の事業を承認する方針である。最終的には、李明博政権を上回る金額が想定されているという。こうなると、文政権は最大の「土建国家」経済に落込んだと言える。

 

(2)「2017年8月、政府は2018年度予算案を発表し、SOC予算を2017年(22兆ウォン)に比べ14%(3兆ウォン)も削減した。「大規模なSOC投資は行わない」という大統領選公約を守ったのだ。しかし、昨年2月から就業者数の増加幅が10万人台を下回り、7月と8月には5千人と3千人に激減する雇用低迷が続くと、政府は「予備妥当性調査免除」カードを切り出した」

 

文政権は「土建国家」経済を批判して、「所得主導経済」に踏み切ったが、韓国経済はガタガタになっている。背に腹はかえられず、これまで批判してきたインフラ投資に大きく依存する。ならば、これまでの批判は何だったのか。文政権は、確固たる裏付けのある政策に乗らず、あやふやな雲を掴むような「最賃大幅引上げ政策」に乗って、国民ともども奈落の底へ落込んだ。死んだ政権である。